第10話 応援

〈1954年7月7日 朝〉

【根本うい】

目がさめると、しっかり朝!

開店時間です!


昨日は大量の惣菜を買いに家に帰ってきたものの、

約50万円分購入したところで『売り切れ』続出になってしまい、

買えそうな惣菜を思い出しているうちに寝ちゃった。


まずはもう少し買い足しておいた方がいいよね。

販売を見ると、『売り切れ』がなくなってる。

開店した影響?

まぁ、とりあえず追加で50万円分!


よしっ!

庄屋さんへレッツゴー!



〈1954年7月7日 正午過ぎ〉

って、車で家を出たのち、森を出た直後だった。


『ゴゴゴゴゴゴゴっ!』

地震だ!

でも、歴史では明後日のはず!

前震かっ!


見える周囲に建物の倒壊はない。

とはいえ、これで地震が発生する確証が高まった。

対策を急がないと!


焦る気持ちを抑えつつ、甚三郎さんの家を飛ばして、

早足で庄屋さんの屋敷に向かおうとしているときだった。

向こうに、仰々しい集団が見える。

よく見ると、袈裟&編み笠の『ザ・虚無僧』みたいな人たちが

こっちに向かってきてるような…。


「貴様、国を転覆せんとする呪術師だな!?」

「先の地震もお主の仕業かっ!?」

どこから漏れた?

ってか、どこからそうなった!?


「!?

 そんなはずありません!!

 そりゃ服装は奇抜かもしれませんが、

 誰かを傷つけるようなことはしてません!!!」


「ありもしない地揺れを吹聴しておるのはわかっておる!

 預言者と偽り欺き、何を企む!」

いや、地震はあるんだって!私だって信じれないんだけど!


「企んでなんかいません!

 こんなくだらないことしてないで、準備に行かないとっ!」


「逃げる気かっ!捕らえよっ!!!」


またこの展開かっ!

けど、ショムニーに人の脚は敵わない。

私のおしりが大ダメージ受けるんだけど!



庄屋さんに向かって必死に走っていると、横からひゅーっという音が。

すると、抗議団体の皆様の前に矢がハリネズミのように突き刺さる。


「藤堂 平助 推参!

 その方たち、何の理由でただ一人のおなごを追いかける!」


「あ、あの怪しい乗り物!風貌!物の怪の類ではないか!!」


「話ができておるのにか??」


「物の怪に我らの話など通じぬ!」


「ほうっ。私には話をしておるように聞こえたが…。

 つまり、あれは物の怪でないことになるな。

 ということはだ、

 ただの奇怪な女子を襲っている輩、

 つまりお主たちが物の怪ということかっ?」

って…。

しかも奇怪な女子って、よくわからないよ。


「ぃ、いやっ…。」


「ならば去れ!次は…、抜くぞっ?」

若侍さんが腰にぶら下げた刀の鯉口を切る。

ちょっとカッコイイ。


「…、引けっ!」

怪しげな集団が引いていく。


でも、『奇怪な女子』『奇怪な女子』…。

私ですよね…。

『奇怪』かぁ…。

ずーんと落ち込んでいると、助けてくれたお侍さんがやってきた。


「根本ういさんで間違いありませんか?

 私は藤堂平助。藩の命令で保護に参りました。」


「あー、はん?」

いや、ボケてる場合じゃないよね!


「ういさんは甚三郎さんの家でご厄介になっていることは間違いないですか?」


「は、はいっ…。」

数日いけてないけど。


「その甚三郎さんから藩主様に連絡が届き、

 不届きな輩もいるかもしれないと護衛を、

 そして、足りるかわかりませんが米を持ってまいりました。

 遅くなって申し訳ありません。」

甚三郎さん…。


「庄屋の前に、まずは近場の甚三郎さんの家へ行きましょう。

 こちらへ。乗れますか?」

藤堂さんの前に座らせてもらって馬に乗る。

パンツ姿でよかった。


あぁ、私の白馬の王子様かも…。

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