第4話 変革期
深夜3時
戦場での出来事や今回の黒幕だと思われる国の予想、適性生物の弱点など、向こうで知りえた情報を交換を終え、自分の部屋で就寝していた。
部屋の中には時計の針が進む音だけが鳴り続けていたその時、突如、体を打ち上げるような強い地震が起こった。
「⁉なんだ⁉クソ!!」
ベッドから転げ落ちるように動きながら、ベッドの下に隠れる。
念の為、ベッドの下に隠しておいた緊急時用のリュックを掴み、周りの状況を確認する。
クローゼットが倒れ、壁掛け時計は吹っ飛び、壁からはギシギシと音が聞こえていた。
約20秒以上も続いている地震に不信感を抱き始めていると、次の瞬間、これまでで一番強い打ち上げが起こり、ベッドが浮き上がってしまった。
「っ⁉拙い!!」
ベッドが浮き上がったことを確認した俺は咄嗟に、ベッドの後ろに引っ付ける場所を確保し、ベッドと共に浮き上がる。それから5秒程耐えていると、ゆっくりと自信が落ち着いていった。
「ふう、あのままだったらベッドの下敷きになってたな。あぶねぇあぶねぇ!」
ベッドの下から這い出し、部屋の扉を確認する。
「チッ、思いっきり歪んでしまってるな。仕方ない。」
扉から少し離れた後、勢いをつけて扉に体当たりをすると、扉が吹っ飛んでいった。
「何か、体の調子が良いな!っと、そうだそうだ!!」
慌てて倒れているクローゼットに近寄り、中から使い古された軍用ブーツを取り出す。
「何が破損して落ちてるか分からないからな。」
ブーツの靴紐を締めた後、急いで佳樹が寝ていた部屋に向かう。
「あいつなら大丈夫だろうが、昨日は酒を飲んだからな。」
目的の部屋の前に着き、扉に手を掛けようとしたと同時に扉が開くと目の前には、特殊に居た頃に使っていた装備を身につけた状態の佳樹が立っていた。
「・・お前、そんな装備まで家に持ち込んでたのかよ!」
「?どんな状況にも対応するなら、この装備が一番便利だろ?」
当たり前かのように言い放つ佳樹に対して少しイラっとしたが、無事で良かった。
「それで、これからどうするんだ?隊長。」
「隊長って、懐かしい響きだな。そうだな・・・。取り敢えず、地下室に行こう!地下室にある程度の食料備蓄と俺の装備があるから、その確保が第一優先だ。本当に、タケさん言われて地下室を増設して良かったぜ!」
「タケさんか・・。あの人が言うことは75%くらいで良い方向へ進むからな。」
「ああ、それに何度助けられたことか。っと、次に行うのは、近隣住民の状況や国の動き、又は各大都市での被害状況を調べることだ。」
「・・?近隣住民の状況を調べるだけか?救助や避難誘導はどうする?」
「それは行わない。確かに元自衛隊員として使命感を持つだろうが、現状たった二人しかいない状況では難しいだろう。」
「なるほどな。まぁ、近くの自衛隊基地から人が送られてくるだろうから、そんなに心配する必要も無いか。」
「最後に、今回の大地震で、どれだけのインフラが停止しているのか分からない為、あまり大きな動きはしない方が良さそうだ。既に電気や水道は停止しているようだしな。」
「電気?電気なら普通に点くけど?」
そう言い、佳樹が部屋の電気のスイッチを押すと、部屋の中が明るくなる。
「そりゃそうだ、この家の地下に設置した大型発電機が動いてるんだからな。ちなみに水道の方も、家の裏にあった井戸から無理やり吸い上げてるから使えるぞ?」
「そう言えば、そんな物もあったんだった。」
「・・話はここまでにして、作戦実行!」
ーーーーーーーーーーーー
キッチン床を剥がすと、地下室への扉が現れる。
俺は、扉の取っ手部分に付いている小さな入力装置に電子暗号キーを入力すると、『カチッ』と、扉の鍵が開いた音がする。
慎重に扉を開けるとそこには、地下室への階段が設置されていた。
「何故、ここまで厳重にしているんだ?」
「そりゃあロマンだろロマン!!」
「・・・はぁぁ。これじゃあ緊急事態が起こっても、お前しか開けられないだろ。お前が倒れて必要な物が中にあった場合、どうするんだ?」
「それは・・・・。」
「・・お前が俺達の中でエリートだった事が、今でも理解に苦しむよ。」
「うるせぇ!そん時は、誰かがここを破壊してでも開けてくれるだろうよ!」
二人で軽口を言い合いながら階段を降りると、約30畳ほどの部屋に繋がり、部屋一面に3段の棚が設置されていた。
その棚の上には、外国から輸入した『レーション』や災害時用の『補給液(水)』、様々な種類の『缶詰め』、『軍用製品(ナイフ、水筒、ロープ』等が数多く置かれていた。
そして、一際大きい棚には、自衛隊に居た頃に俺が使用していた物が綺麗に並べられている。
「勝。ゾンビパンデミックでも予想してたか?何だっけ、プレッパーとか言うんだったか?」
「んな訳ねぇだろ!!ほら、海外遠征とか行くと、軍用製品とか扱っている業者とかに伝手が出来るだろ?俺、その辺りの重役とかとよく、飲みに出掛けたりしてな?今でも時々連絡を取り合ってて、その時に試作品とかを送ってくれるんだが、如何せん数が多くてな、それを全部地下室にぶち込んでたら、いつの間にか、な?。」
「はぁぁぁぁ。まぁ、現状を打破するなら必要な物だし別に良いか。それより、お前も早く装備しろ!」
「分かってるって!」
自分の装備が置いてある棚に近づき、装備を着替える。
「まさか、この装備をもう一度着ることになるとはな。
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