第4話 ある家庭の危機
落ち着かなくなったブッコローは外に出た。
「とりあえず、みんながガラスペンばっかり使っているというのは分かった……」
現状把握。
後は、なんとかして神のご機嫌をとって、元の世界に戻してもらわなければならない。と言っても、困った。
誤解してもらっちゃ困るが、ブッコローは決してガラスペンが嫌いなわけじゃない。見ていて綺麗だし、インクの種類も多くて楽しそうだ。ザキさんがハマるのも分かる。
「でも、ザキさんと同じレベルで愛するっていうのは無理そうなんだよな」
マニアが最も嫌うのは、好きでもないのに口先だけで語られることではないだろうか。となると、どうするのが一番いいのか。
「ゴッド・ザキー」
呼んでも全然返事がない。仕方無いので、ブッコローは一旦自宅に帰ることにした。
『ブッコローよ』
「おわう!?」
いきなり上空にゴッドの顔が浮かんで、ブッコローは転びそうになった。
『ちなみにここは別世界なので、同じ住所に行っても妻と娘はいません』
「ええっ!?」
ブッコローは本気で驚いた。
「そ、それはどういう……」
『だって、ここに妻と娘がいたら、あなたは課題をやらなくてもいいかな、とか思いそうなので』
図星だったのでブッコローは押し黙った。
『早く妻と娘のもとに帰るため、頑張りなさい』
「ちなみに、ちなみにですよ。浦島太郎みたいに、ゆっくりしてたら現実世界ではものすごく時間が経ってたりしません?」
神は何も言わずに消えてしまった。
「ちくしょおおおおおおお──!!」
ブッコローは通りで人目も気にせず吠えまくった。これはなんとかしなくては!
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