第4話 理想郷を求めて

どこなら自分の理想的な生活ができるか考えていたとき、駅を発着する電車が目に入った。この駅は地上にあるが地下鉄の終点で、私鉄の小田急線に乗り入れしている。小田急線は下北沢や新宿など都会を走るが、ずっと乗っていたら東京都下の田園地帯も通る。


確か小学校の遠足でこの電車に乗って町田市に行ったとき、畑やリス園があってのどかな気分になったことがあった。あそこは駅前はにぎやかだが、少し歩くと落ち着いたところがたくさんある。


自分にとっては未知のこともたくさんあるが、なじみのない環境というのは心機一転にはうってつけの場所のはずだ。スマホで賃貸物件を見たら、駅から徒歩20分の物件なら今の貯金でも生活できそうだ。


動画サイトで町田市の街歩きやPVを見てみた。公園が多く、長い遊歩道があり花見や散歩を楽しむことができそうだ。穏やかでいい場所だなと思った。


占い機の預言書を取り出して、もう1度熟読した。


「方角は西」


町田市はここから西に位置している。どうなるかわからないが、町田市を見て、気に入ったらテレポートしてみようと思う。


先程、スーパーのゲームコーナーで感じたドキドキやワクワクといった感情がさらに強くなり、体中を駆け巡っているような気がしてきた。

 

こうなるとKはいてもたってもいられない。Kは飲みかけのジュースを飲み干し、勢いよく駅に向かった。

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