第3話 理想の生活
スーパーを出て、実家の近くをぶらぶら歩いた。小学生の頃、学校が終わるとすぐ遊びに行った公園。今も子供達が鬼ごっこやサッカーをして遊び回っている。その子供達に自分の少年時代を重ねて見ていた。あの頃は夢中になって遊んだなあ・・・
中学生の頃、よくクラスメイト達とたむろした文房具屋であり駄菓子屋でもある店にも久しぶりに来た。ここにはゲーム機が何台かあり、50円で2回プレイできるので、よく遊んだ。ゲームは最新の作品になっていて、スーパーの屋上とは違い、ここは新しくなったのかとしみじみと思った。
中学のときにゲームが上手い奴がクラスにいて、彼に何度も挑んだが1度も勝てなかった。生活指導の先生が見回りに来て、怒られたのもいい思い出だ。
出身中学の前を通ると、元気よく中学生達が校門から出てきた。自分の世代は学ランだったが、今はブレザーになっていて、いろんな髪型をしている。自分の頃は野球部でもないのに坊主頭で、ほとんどの生徒がそうだった。中学時代もいろいろあったなあと感慨深くなる。
しばらく歩いて駅前のドーナツ店でひと休みした。ここもよく来たところだ。ジュースをすすりながら、今後のことを考えた。
新しい生活に対して、Kには2つの理想があった。ひとつは親友をつくることである。今までも仲のいい友達はたくさんいたが、今ではみんな疎遠になってしまった。
年齢、性別に関係なく、困ったときに互いに助け合い、ときにはケンカをしても本気で意見をぶつけ合える親友と生涯を通して付き合っていきたいと思っている。
もうひとつは、結婚である。Kは今まで何人かの女性と交際したが、結婚にまでは至らず、自然に別れることがほとんどだった。
もし今後、女性と交際することになったら、自分の家庭を築くことを前提にしたいと思っている。そのためには定職に就くことや、金銭面など課題はたくさんある。
結論として、Kの理想を叶えるには立派な社会人として毎日をしっかり生きることが必要だ。K本人もそのことは十分にわかっているが、収入をついつい酒や博打に使ってしまう。
しかし、このままではいけない。新しい生活では繁華街から離れた、落ち着いた場所で地道な生き方をしようと決意した。
でも、どこでその生活ができるのだろうか・・・
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