第14話 『再会』 最終回


 『つまり、これは、信じがたいお話なので、どう考えるかは、あなた様にお任せいたします。


 その彼は、悲嘆にくれていたある晩、正体が分からない『宇宙船らしきもの』に連れ込まれて、そのまま空に消えたと、ある目撃者の方から知らせがあったというのです。まだ、世間で宇宙人とかUFOなんていう言葉が無かった時代です。もっとも、日本ではすでに『うつろ船』とかの話はありましたし、西洋でも、-なにやら宇宙軍らしきものとの戦いを描いたような絵画もあったようにも思います。信じがたいですが。おそらく、西洋の場合は、宗教的な意味があるんでしょう。


 しかし、このお話は、証拠も何もなく、他に情報もなく、ただ、彼が消えたという事実のみが残っています。


 そうして、彼は、連れて行かれる直前に、その目撃者に対して、やがて 宇宙から、好きな人の元に、必ず帰って来ると言っていたとかなのです。そうして、その時が、実は今月の29日の深夜だとか。


 まあ、信用は出来ないお話ですが、一応はお伝えいたします。


 どうか、末永く元気でお過ごしくださいませ。』



 ぼくは、就職した後、再度健康検診とかをうけ、その結果、とうとう、がんが発見されてしまったのです。だから、すぐに、一旦お休みして精密検査をして、放射線治療とかするることになりました。


 さて、その29日は、たまたま、入院治療に入る直前の勤務でした。


 深夜、病院の上に、巨大な光が現れて、暫く滞空したあと、消えてしまったのです。


 ぼくだけではなく、数人の目撃者がありました。


 怪事件として、新聞にも載りましたが、それでお終いになりました。


 しかし、それ以降、葵さんは、目撃されることが、無くなったのです。




                おわり


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『続 葵さん』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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