第6話 『再会』 その6
酒屋の遠藤くんは、顔をみたとたんに思い出してしまいました。
『おー、紛れもない、遠藤くんだあ。』
ぼくは、叫びました。
『いやあ、成り行きで、叔父の店を引き継いでしまってさあ。やましんくんも、相変わらず、ちりちり髪だね。懐かしいな。』
ちょっと、照れたように遠藤くんは言った。
確か、彼は、当時はまだ最新型の社員アパートに住んでいたと思います。
漫画を読みに行った覚えがありました。
『はは。髪の毛は変わらない。故郷でいじめられたことはなかったけど、転校先では、だいぶ、いじられた。』
『ふうん。文化のちがいかな。』
『さて、ここよりも、遥かに小さな町だったからね。』
まあ、人生、色んなことが起こるわけですよ。
『そうか。確かに、あの丘 あたりは、変わってしまったからね。ぼくが、この仕事を始めた頃は、もう、ねんどやま、はなかった。でもね、たしかに、あそこには、幽霊屋敷があったんだ。べつに、なにか出るわけではないけど、そうした、雰囲気だったから。わりに古い洋館で、しゃれた建物があったな。誰も住んでなかった。今は、もちろん、無いけどね。』
『お名前とか、知らないかな?』
『さてー、それは、わかんないなあ。ああ、叔父が町内会名簿を貯めてたはずだから、ちょっと待って、探してくるから。あ、お酒飲むかい?』
『お酒はかんべんしてくらさい。』
『はは。ジュースにしよう。もちろん、サービス。』
遠藤くんは、ジュースを出してから、母屋に入っていった。
『なんだか、あの気さくなところは、むかしのままだね。』
『そうそう。彼は、ほんと、真っ直ぐに成長したからね。』
『ひでみこちゃんは?』
『うーん。まあ、苦労はしたよ。かなり不均衡に、拡大したしね。歳も取ったし。』
『まあ、みんな、そうなんだろうね。』
『やましんちゃんは、そのまま、等倍に拡大したみたいだね。』
🧃
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