2024/10/26 亀と蜂
覚えているのは途中から。
覚えている部分まで何かを見た覚えはあっても、何があったかは思い出せない。
ベランダで飼っている亀……一番付き合いの長い子が脱走した夢だった。
幸い、ベランダの中を悠々自適にのそのそしているだけで、転落する心配はなさそうだった。
ベランダに出て亀を捕まえて水槽へ戻そうとすると、不思議の国のアリスみたいに体が急に大きくなってきてしまった。
ベランダが壊れないか心配していると、亀が手足と首を引っ込めてじっとしている斜面にぴったり横たわるくらいの大きさで巨大化が止まった。
亀に手を差し伸べ、手の平に乗せて水槽へ戻そうとすると、亀が腕の上をのそのそ動いて水槽の方へと動いてくれた。
そのまままっすぐ行ってくれれば水槽だと思って視線を水槽の方へ動かすと、蜂が巣を作っていた。
しかも、ただの蜂ではない。
夢の中特有なのかわからないけれど、ミノムシのような形態をした蜂……顔はスズメバチっぽいやつがベランダの屋根の役割をしている波板からぶら下がり、蜂の巣の一部のようなものを本来針のある部分から糸を垂らしてさらにぶら下げていた。
亀が襲われないだろうか。
心配になり、部屋の中へと戻ろうとすると、体がシュルシュルと縮んでいった。
部屋の中へ戻ってすぐに、ミノムシになっている蜂のぶら下がっている糸をハサミでちょん切り、素早く戸をしめた。
蜂は蜂だから、飛んできて襲われるかもしれない。
そう考えていたからなのか、亀の水槽におちたミノムシっぽい蜂はものすごい音をたて始めた。
油で天ぷらを揚げているような激しい音が水槽から響き、ベランダの空間は蜂の羽音で埋め尽くされた。
亀大丈夫かな? 大丈夫だ。だって突き落としたのは私なのだから。
案外音はすぐにやみ、ベランダを恐る恐る覗き込んでみると、亀が蜂と蜂の巣を食べているところだった。
夏場にセミを捕まえて与えていた時のようなすごい食いつきっぷりに、毒針とか体に悪い物とか入ってないかを心配しながら見守っていると、口元からハチミツらしき汁を滴らせてご機嫌そうに瞬きをし始めて思わず笑ってしまった。
実際、亀にとって蜂とハチミツはどういう影響があるかわからないけれど、夢の中ならではのほのぼのした良い終わり方に安堵していると目が覚めた。
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