2024/6/10
たくさん砂を敷き詰めているところから覚えている。
さらさらで砂利の少ない触り心地の良い砂。
私が敷き詰める前はバニラ色をしていてアイスのようでおいしそうな色の砂だったのに、敷き詰められた場所によって色が変わってしまって切なくなるものだった。
ある場所では赤色の砂に、ある場所では青色、また違う場所では紫色。
場所によって砂の色が変わってしまい、その色から変わることがなく、人々から決まった扱い、決まった見た目でしかないのが悲しくて悔しかった、
砂って本当はこんな色なんだよ。
教えても、現地の人はいぶかしむばかり。
悲しみながらも砂を敷き続け、腕を使って平らにならし続けた。
道具を使えばもっと楽に平らにできるのにな。
不平不満がありはしたけれど、ないものは仕方がないと自分に言い聞かせた。
そのうち、敷き詰めても色の変わらない場所を見つけた。
人があまりいない荒れ果てた砂漠だった。
そこの渦巻き状に塀がある場所の塀の一部に、オレンジ色のガラスかプラスチックでできた鳥型のタペストリーが三分割されて隠されていた。
現地の人たちが私を案内しながら三つとも塀から取り出して組み立て、渦巻きの中心部にお供えするように飾り付けた。
確か砂漠にはホルス神とかいたっけか。
エジプトをイメージしていると、フレンドリーに微笑みかけてくれた記憶を最後に場面が変わった。
どこか見知らぬ都会で、誰かの車の後部座席に座っているところから記憶がある。
風の吹く港町。
白い外壁、青いとんがり帽子のような屋根、細くて高い建物。
螺旋状になっている坂道の多い町だった。
車の後部座席にあるドアは両方とも全開で、誰がどうして乗せていたのか知らないまま車を降りて街を探索した。
探索していると、聞き覚えのある声がして振り向いてみた。
すると、元同居人が心配そうな顔で私を覗き込んでいて、余計なお世話だと言ったり、昔のことを思い返しながら、こいつはまだ優しい方だったんじゃないかと思いなおしたり、たくさん悩みながら歩いていると目が覚めた。
目が覚めてすぐにlineが届いたときの振動音がして、開いてみると元同居人だった。
連絡とるのやめようといってからしばらくしてのlineだった。
友人関係でい続けても別にいいけれどな……。
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