2024/6/28
のんびり寝転んでごろごろくつろいで薄暗い部屋の中ですごしていると、母がタンスの引き出しを引いて、小さい頃に私が買ってもらったおもちゃをがさごそとあさっていた。
現実でずっと前に近所の小さい子へ譲ってしまって、もううちにはないおもちゃたちだった。
母はなにをそんなに一生懸命漁っているのだろうか? それはもうわたしのではないし、懐かしく思いはしてももう欲しくはないものだ。
寝転びながら母の行動を不気味に思っていると、母が大きな声で焦りながら私に問いただしてきた。
「マジカルトレインセットの鍵知らない?」
え? そんな玩具うちにはそもそもなかったはずだけど?
そんなことを思いながら母がタンスの戸を開けて一生懸命探すのを見ていると、タンスの中には子どもの頃よく使っていた玩具がつまっていた。そしてもううちにはないものの数々だ。
よくみると、母の手元には鍵の束のようなものがおかれていて、それは全く見覚えのないものだった。
「これがどの鍵かわからんのや」
そう話しながら、タンスからでかい玩具をとりだし、これはあんたが泣きながらグズったやつだと話しながら雑に仕舞いこんでいた。
そうしてまた、トレイルセットの鍵がないと言い始めて、最初のと同じものなのかわからなくて黙ってみているしかできなかった。
香水を模したプラスチックの玩具が入った占いの玩具、ガラスのついているコンパクトの玩具、たくさんの子ども向きの玩具。
本当に懐かしいな。
懐かしさに思いを馳せながら、母の探す玩具はなにか、名前から連想して思い浮かべていると、電車が走っている風景が頭に浮かんだ。
土が盛られて少し高くなった線路を走る電車は、武装しているような見た目をしていて少しだけ格好よかった。
目の前で男の人が電車に向かって走り、飛び乗っているのをみていると、私が部屋で目を覚ましたような見え方に変わった。
ぼんやりしながら目だけ開けていると、なにかがベランダの外でバチバチ音を立てていて、亀が感電してないか心配なのに声がでないし起き上がれなかった。
お母さん、お母さん。
金縛りにあったような状態で声を出そうと必死になっていても体は動かず、声もでない。
そのうち、頭の中でなにかが弾ける感覚があった。
声がほんのうっすらとだけでてきて、必死に助けを呼ぼうとしていると、頭の中で弾けるのに合わせて外でもなにかがビリビリと音を立てながら光っていることに気がついた。
まずい、いろいろな意味でまずい。
視界の中でなにか違うものが光ったのが見えた。
あれはたぶん監視カメラだ。
今の出来事みられてたら本当にまずい。でもそれ以上に亀が……。
必死に意識を集中させて、声を振り絞っていると、囁き声程度には出せるようになった。
あとは呼び続けて何とかしよう。
そう思っていると、父親が起きて歩いている音が聞こえてきた。
呼ぶ対象を母から父へと変えて、呼び掛けると気づいてもらえた。
声が普通に出せるようになってきても、うまく言葉をつなげられず、亀が、亀がということしかできなかった。
父親は亀を無視して降りようとしていたけれど、私は必死に呼びかけた。
たくさん話せず、単語を連呼しかできなくて、父の耳には命令しているように聞こえたらしく、何を偉そうにと言いながらコンセントや亀の様子を確認してくれた。
私は体が動かず、言葉もろくにしゃべれなくて、ただ不安と心配な気持ちを抱えていることしかできなかった。
動かすぞ。
そうやって意識を集中させきったとき目が覚めた。
外ではなにも光っておらず、感電している様子もない。
物凄く不安になる夢だったけれど、その分目が覚めたときの安心感がすごくなる夢だった。
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