第6話

俺と赤羽は会社帰りに買って帰る予定だったが、どこに行っても混んでいたので、お持ち帰りを買うのすらやめて、スーパーと家にあったもので夜ご飯を作らされた。

赤羽が料理している所を見た事ないけど、多分めんどくさがりだから作らないのかな。


「赤羽はベッドと布団どっちが良い?」


「…布団」


「布団か、なら取ってくる」


俺は、タンスから布団を出して、空いてる部屋に引いた。

俺の家なんて誰も来ない予定だったから、布団は最初は買ってなかったのに、赤羽だったり友達が泊まりに来るから、結局買ってしまった。


「着替えとか持って来た?」


「……」頷く


何か一人で喋ってる気分になって来た。

面倒くさいから喋らないらしいけど、ここまでくると相当めんどくさいんだろうな。


「明日は何時に家を出るんだ?」


「…8時半には出たい」


「なら7時ぐらいに起きれば良いか」


「……」頷く


「風呂は沸かしてあるから、先に入りたいなら入って来て良いよ」


赤羽は着替えを持ってお風呂場の方に行った。

お隣さんの家に会話が聞こえてるとしたらギャルゲーに話しかける一人暮らしの男性みたいな感じに聞こえてるんだろうな。

赤羽は無口で可愛いから、モテそうな気がするけど、無口すぎて恋人出来なさそう。


この時間暇なので赤羽が風呂に入っている間に俺は必要なものをスーツケースに入れていく。

てかさ、京都について何も聞いてないけど、まず新幹線で行くのかな?それとも鈍行で行くのか?どっちかも知らないし何なら何をするか泊まるところすら知らない。

とりあえずお金と洋服、撮影機材だけあれば何とかなるか。

最悪、必要なものがあったら現地で買おう。

京都駅とか河原町の方行けば何でも売ってるでしょ。


「俺…スーツケース持っていくほど荷物なく無い?」


改めてスーツケースに荷物を入れてみると、おせちもびっくりなほどにスカスカの状態になってしまった。

なんかお土産でも買えば埋まるとは思うけどお土産を買う相手が居ないんだよな。


そんな事をしていると赤羽が風呂から上がってきた。


「…あがった…」


「俺と風呂に入ってくるけど、眠いなら先に寝てても良いよ」


「…待つ」


「分かった。なら椅子にでも座って待ってて」


俺は着替えを持って脱衣所に向かう。

そういえばシャンプーがあとちょっとで無くなりそうなんだよな。

替えを買わないと行けないけど、多分忘れてそう。



風呂から上がって部屋に行くと、椅子に大人しく赤羽が座っていた。

うたた寝でもしてるかなと思っていたのだが、ちゃんと起きてたみたいだな。

無口でずっと大人しくなってるのだけ見ると日本人形みたいだな。

多分本人にそんなことを言ったら怒ると思うけど。


「まだ何か今日中にやりたいことある?」


「……」首を振る


「俺もやりたい事ないしな、普通ならこの時間に配信とかするんだろうけど」


Vtuberに普通もクソもあるかと言われれば、困ってしまうのだが、この時間帯は会社員もブラックでサービス残業万歳みたいな所ではなければ基本的に家にいるはず、そんな時間だからこそ同接が集まるので、配信をするのだが…めんどくさいからね。

やる気が起きないと何もしたくないんだよな。まぁ俺のやる気スイッチはブレーカーごと短絡してる。 


本当にやる事もないし少し寝るのにも早いので、YouTubeを見始めた。

なぜか反対側に座っていた赤羽は俺の隣に座り始めて、一緒にYouTubeを見始めた。


「赤羽って普段どんな動画見てるの?」


「…YouTubeあんまり見ない」


「その状態でこの会社に入ったね」


一応忘れてる人もいるかもしれないが、ゲーミング看板とパソコンを作る会社ではなく、Vtuberの事務所なんだよな。

それも日本の中だと大手になる。


「…何故か受かった」


「社員もVtuberも奇人変人を見つけて来る才能がある人事の奴ら凄いな、責任とってほしい」


人事の人達はどうやってそんな変な人ばかり見つけて来るのだろうか。Vtuberは変な奴らしか出来ないと思ってるけど、社員は…変人ばかりだと困る気がするのだが、何故か会社は回ってるんだよな。そして何故か案件を出して来る企業が居るんだよ。

個人Vtuberにでも戻ろうかな。


「…新しいスマホ買わないの?」


「スマホって普通は高頻度で買うようなもんじゃないって知ってる?」


「……」頷く


「そろそろ寝ようかな」


「…寝るの?」


「まぁやる事もないし、YouTubeもこれと言ってみたいものは無いんだよな」


「……」多分何か閃いた顔をしている


「多分、その思いつきは変な事だから鯉にでも食べさせておけば良いと思う」


「……」


「とりあえず俺は寝るからおやすみ」


「…おやすみ」


俺は寝室に行きアラームを掛けて寝た。







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