第2話

面接した日から数日が経った日、何故か俺は会社から呼び出されて会議室にいる。

なんかやらかしたか?逆にここ数日何もしてないのがまずかったか。

確かに働きたくないから配信も編集もしなかったけど、それだけで呼ばれるのかな。

同期の奴なんて熊に挑みに行ったあとに次は滝に打たれてたらしいしそっちは呼ばなくて良いのか?


「マサ君、顔がバナナを取られたゴリラみたいな顔してるぞ」


「意味わからないしそんな光景見たこともない例えですね」


「で、何でそんな顔しているんだ?」


「休日の朝7時に何も伝えられずここに来させられてるからな」


「そんな時でもビックマックを食べた」


「顔にビックマックをぶつけるからな」


「ぶつけるならマックグリドルにしてくれ」


「つっこむところはそこじゃないだろ」


「ちょっとお二人さん、会議始めてもええか?」


「とりあえず始めてくれ」


「今回の議題は、新人Vtuberの教育を誰に任せるか言う事や」


「それは俺が会議に出る必要あります?」


「こんな時間から来てくれるVtuberなんてマサさんしかおらへん」


ならこの会議の時間帯をずらせば俺以外の誰かしらは来てくれるんじゃないかと思うのだが、よく考えたらそんな奴はこの会社にいない。

何なら俺も朝から用も知らされずに来たくなかった。


「廣瀬さんとマサさんは誰がええとかありますか?」


「梓君はこっちに出てきて何年だ?」


「大阪から出てきて、5年です」


「関西弁と標準語が混ざって訳わかんなくなってるぜ」


「自分でも気にしてるんで辞めてくれへんか?」


「身長以外気にしてたんだな」


梓と廣瀬が隣でチンパンジー同士の喧嘩みたいな言い合い始めて、もうこの会議はダメかもしれない。

大の大人が何でこんなしょうもない事で言い争ってるんだ?

てかこの時間から集まされたこっちの身にもなってくれ。こんな言い争いを見にきた訳じゃ無いんやけど。

俺はもう疲れすぎて頭を抱え始めた。

そんな中入り口側から見慣れたスタッフが入ってきた。


「すみません、別の会議で遅れてしまいました」


「問題児が1人増えた…」


「何でマサさんは頭を抱えて梓さんと廣瀬さんが野良猫の争いみたいな事をしているんです?」


「俺も知りたいよ。会議がまともに進まない理由をな」


「コレ会議する必要ありますか?梓さんと言う議題長が喧嘩してるならやる意味がないと思うんですけど」


「お前こう言う時はしっかりズバッと言うんだな、いつもそうしてくれ」


「私はいつでもまともですよ」


「なら、その服は何だ?もはやその入手経路の方が気になる」


「可愛いでしょこのワンポイントアヘ顔Tシャツ」


こんな服を堂々と会社に来て来れる頭もおかしいしそもそもこれを買おうとなった頭が最大限におかしい。マジで脳を解体新書してやろうか?

こいつの頭の中は何か大きな事をやらかす前に一回調べた方が良い気がする。


「てか朝食をまだ摂ってないから食べに行こうかな」


「それなら今から食べに行きましょうよ」


「着いてくることは確定なのね」


「他の人も連れてきた方がやっぱ良いですか?」


「まともな奴なら良いが変な奴を増やしてどうする」


「まぁ私以上にまともな人は居ないですから」


「とりあえず営業課に行くか」


「あれ?私の話無視された?」


梓と廣瀬を会議室に残して別階の営業課に向かった。

俺は大抵そこに入り浸ってることが多いので、俺が来ても誰も驚かないし何ならたまに外回りを一緒に行かされることもある。

一応Vtuberなんだけどね。明らかに会社からただの社員だと思われてる気がしてきた。

何か悲しくなってきたし会議用の椅子にでも座るか。


「よく考えたら、この時間は外回り行ってる奴もいるのか」


「お昼ごとには戻ってくると思いますよ」


「スポンサー契約を取るために皆んな頑張ってるんだな」


「スポンサーの契約してないVtuberも居ますけどね。目の前に」


「変な事して迷惑かけたく無いからな。この会社以外に」


「この会社は問題しか起きないですからね」


「2期生あたりがやばいのでは?」


「一期生の人も相当頭おかしいですけどね」


前に面接した子は時期的には3期生になるのか?他に面接してた子がいるのか知らないので何とも言えないが、変な奴を増やしまくると大変なのは会社だと思うんだけど良いのかな。


「あ、赤羽さん〜マサさんと一緒に飯食べに行きますか?」


1人の女性がこっちにくる。


「あいからず全く喋らんよな、別に良いと思うけど」


「あれ?マサさんって赤羽さんと知り合いだったりしますか?」


「一応俺のマネージャー的な何かなんだけど、俺が全くLINEを返さないから連絡を取ってない」


完全なマネージャーでは無くて、とりあえず手伝ってくれる人感が凄いのだが、連絡取るのを忘れるよね。


「それはマサさんが悪いのでは」


「俺が全面的に悪い」


赤羽はうんうんと少し首を振る。

喋れないわけでは無いけど、喋るのがめんどくさいと言うのを昔聞いた事がある気がする。

喋らないならワドルディだねって言ったら、本気で怒られた事もある。


「赤羽は食べたいものとかある?」


「私には聞かれた事も無い質問ですね」


「多分一回も言ったことがないからね」


「中華が食べたいのか、ここら辺スガキヤ以外あったっけ」


「赤羽さんが何も喋ってないのになんで分かるんですか?」


「赤羽が中華が好きなのと本人が頷いてるから」


「感情を読み取るAIか何かですか?」


AIの方がまともな人事をしてくれそうなのは置いておいて、何処か中華料理店なんてあったかな。最近ファミレスとかコンビニとかしか行かないからバーミヤンぐらいしか思いつかない。


「てか赤羽は椅子に座らないのか」


俺がそう言うと赤羽は隣に座ってきた。

座ってから何でこっちを眺めてくるんだ?

俺が返信を返さずにいるかな。それとも前に行ったユニバに赤羽を誘わなかったからか?

赤羽はユニバが大好きだからな。

お土産を買って来ないと2週間ぐらい口を聞いてくれなくなる。


「バーミヤンをUberすれば良いのか」


「ここなら食べても問題ないですよ」


「君は前に廊下でラーメンを立ち食いしながら歩いてたでしょ」


「それは食べてる最中に呼ぶ上司が悪いです」


「頭のネジが数本抜けてるようだな。ホームセンターで買ってきてあげようか?」


「ネジ穴が特殊なんで、どこにも売ってないです」


「頭おかしくなっていく一方ってことか」


直せないのならもうしょうがないな。

そんな会話をしながらUberのアプリを開いて近くのバーミヤンを選択する。

アプリ久しぶりに起動して分かったのだが、今はコンビニもUberが使えるみたいだな。

もはや永遠に家から出なくても生活が出来る。これで完全究極体引きこもりニートが完成するわけか。


「2人は何か食べたいものはあるか?」


「ラーメンの炒飯が食べたいです」


「赤羽はいつも通りで良いのか?」


「……追加で餃子……」


「了解、とりあえず注文しておくか」


住所を会社に設定して注文を決めた。

注文したのは良いけど、今は物凄く眠い。

ここで30分くらい寝ようかな?


「てか、せっかく会社に来たならパソコン持ってきておけばよかった」


「最近は動画投稿も配信もしてないようですね」


「やる気がある時期に配信して動画投稿用の作って貯めておいたんだけど、その貯金が無くなったのにまだやる気ない期間なんだよね」


「そうなんですね。なら誰かに作って貰えば良いんじゃないんですか?」


「それはそう。後赤羽はこっちを向いてるけど作らせないからな」


赤羽が作りたいと言って作った時もあったが、やり方を教えてなかった俺が悪かったんだと思うが、全体的に酷い出来になった。

明らかに会社から文句と苦情。

視聴者からは、国会並みに野次が飛んできそうな動画だった。


「でも動画問題は本当にどうにかしないといけんよな」


そんな話を3人?でしながら時間は過ぎていき、朝飯兼昼食も食べ終わったのだが、この2人は流石に仕事をしに行った。

一応2人はここの社員だしな。働かないとまずいよな。それにしても赤羽って今は何の仕事をしているんだ?

何か暗殺とかしてそうで怖いが、流石にそんな事はしてないと思いたい。


俺はこの部屋に居ようかな。

誰も使わないし何なら会議室作り過ぎて会議室大好きな会社になってる。

隣の会議室は完全に無駄なもの置き場になってるしな。

Vtuberのネタで買ったものを色んなVtuberが置いていく部屋になって見た目は個人経営のリサイクルショップみたいになってきている。


やっぱ眠いな。寝るか。

そう思い俺は夢の世界に入っていった。


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後書き


ビックマックも美味しいけどたまにはワッパーも食べたい。

家の近くにバーガーキングが欲しい…


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