Vtuberでも好き勝手生きていたいよね
大坂
第1話
皆さんは配信者になりたいと思ったことありますか?
普通はYouTubeやニコニコ動画などで自分でやり始めるのが当たり前ですが、Vtuberは企業の面接で受かればなることが出来ます。
簡単でしょ?言葉だけ聞くと…
残念ながら倍率が東京スカイツリー並みに高いので普通の人は常設オーディションでも受からない。
シャバで暮らしてる人はほぼ無理なはず、頭がおかしくてネジが5本以上抜けてないと、難しい。
まぁVtuber目指そうとした時点で己のレールから踏み外してるはずなんだけどな。
そして配信者は楽だと思われてるが、一部の人を除いて多忙な日々を過ごしている。
それはVtuber事務所のスタッフもそうであり、応募シートを見るだけでも、1日が終わりそうな日もある。
やっぱ常設オーディションなんて犬にでも食わしておいてほしい。
これはそんな業界で、ある意味レアなケースの人のお話。
⭐︎第一話 新しい子が来るらしい⭐︎
ドタバタとオフィス内を走る人を横目に、編集をする日々って社会人?として良いのかなと思ってしまったが考えてみたら社会不適合者だからセーフな気がする。
やっぱ社会不適合者じゃなきゃVtuberやってられないねと思っていると女性スタッフがこちらに走ってきた。
何でこの人たち走り回ってるんだ?
競馬でも負けたん?
「マサさん、ちょうど良いところに」
「また競馬に負けたのか?それとも賭け花札?」
「まだ流石に法律を破るような事はしないですよ」
「そうか?前に税務署から怒られてた気が済んだが?」
「そんな記憶は忘却の彼方」
「そんな事はどうでも良くて、何のようだ?」
「最終面接の面接官が足りないから、まともな人を探してたんです」
「それで俺を選ぶって頭逝かれてるの?」
「逝かれてなきゃ、この会社に居ないでしょ」
「確かにな」
「「ハハハハハ……ハァ…………」」
何か悲しくなってきたな、もう帰ろうかな。
てかよくよく考えたら、Vtuberとしてこの事務所に何年もいるのにコラボした事もないから、このスタッフみたいに他のVtuberよりもスタッフの方が仲良いんだよなぁ。
何なら事務所のホームページにはVtuber兼スタッフて書かれてるし、まぁ事務所も頭おかしいのはどのVtuberの事務所も同じでしょ。
「とりあえず来てもらって良いですか?」
「てか俺のこの服で良いのか?」
「…多分大丈夫です」
「本当か?」
「服にアズカバン行きと書かれてても大丈夫です」
「後から何言われても責任は取らないからな」
俺はスタッフの後を付いていく形で、面接の部屋に向かう。
相変わらずこの廊下には意味の分からないポスターが貼ってある。
それも自作のポスターらしい。
趣味が悪いと言うか気色の悪いポスターの横を通り過ぎて、面接会場と書かれた部屋の前に着いた。
「何で面接会場という文字を七色にしたんだ?」
「最近流行ってるじゃないですか。ゲーミング系」
「なら京都三条大橋歯科診察所ってやつも作るか?」
「それは元から七色なんで大丈夫です」
「そういう問題じゃ無いと思うんだけどな」
「技術班に頼んで、光るようにしようとしたんですけど、断られたんですよね」
「そりゃ、断られるよな」
「ゲーミング本社の看板作ってるから無理って言われましたね」
「頭逝ってラァ」
この調子なら面接会場の部屋もとんでも無いことになってるんじゃ無いかな。
てかうちの会社は何を目指してるんだ。
何ならゲーミングVtuberでも作るか?
頭がお花畑並みに光らしてやろうかな。
「とりあえず入ろう」
「そうでしたね」
ドアを開けるとそこには…誰も居なかった。
え?この隣のスタッフと面接官をやるのか?
そんな事なら面接官やりたく無いというか面接受けるかが可哀想。
面接受けた子は帰りになんか奢ってあげるか。
「てか何で道徳の授業でしかみた事ないような席の配置なんだ?」
「ここって元は会議場なので席と机が余るんですよ」
「そうだな」
「なので配置してみました」
「配置してみましたじゃねーんだよ。どこ座れば良いかも分からないだろ」
真ん中に椅子と机があってそれを囲むように席と机が配置してあるのだが、それでも余ったのかその後ろにもまた配置してある。
これでOK出した人をクビにした方が会社の為だと思う。
「後5分で来ますからね」
「マジで面接官2人か?」
「他の人は忙しくて無理でした」
「なら、グラスでも呼べば良いじゃないか?」
グラスとは、この事務所所属の社畜系?Vtuberで事務所の近くに住んでいるので問題を起こしてもすぐに呼べて安心して問題を起こす男。
炎上が炎上にならないのが強みなんだがもはや、やりたい放題やってて配信を見てて怖い。
「グラスさんは、熊と戦いに行きました」
「頭おかしいのか?」
「俺の筋肉がとか何とか言ってましたね」
「止めないの頭悪すぎでしょ」
「まぁ居ない人は置いておいて、この札を首から掛けてください」
渡された札を見ると、そこにはしっかり自分のVtuberのアカウント名が書いてあった。
リテラシーとか無いのかなうちの会社。
てかこのスタッフ最初から俺の誘う気だっただろ。
「流石に不味く無い?」
「私も本名なので大丈夫ですよ」
「なら俺も本名にしてくれよ」
「それは出来ないですね」
「後はここの時計動いてないよな」
「電池交換するのがめんどくさくて、やって無いですね」
「多分だけど、もう廊下とかに面接受けるか来てるんじゃ無いか?」
「……確かに、来てそうですね」
スタッフが1人で部屋から出たので、俺は面接側?の椅子に座った。
四方八方に椅子と机があるせいでどれが正解なのかは分からないが、何とかなるでしょう。
スタッフが戻ってきたと思ったら後ろに面接を受ける子も一緒に来た。
見た目で決めるのは良く無いけど、この会社に応募するとは思えない程まともそう。
「それじゃあここに座ってくださいね」
「はい、よろしくお願いします」
スタッフは俺の隣の席に腰を下ろしたのだが、何か態度がデカく無いかな?
「これではこれから最終面接を始めます」
「宜しくお願いします」
はい?最終面接?そんな重要な面接に何で俺とスタッフ2人で面接してるの?
何なら最終面接って聞いて無いし、そう思いながらスタッフの顔を見ると目を逸らされた。
「まずこちらから自己紹介を致します。私はマネジメント課所属の原田、知里と申します。本日は宜しくお願いします」
「次に私は八月一日宮マサ(ほずのみや マサ)です。本日はよろしくお願いします」
「それでは、貴方の年齢とお名前を教えてもらえますか?」
「はい!私の名前は朝比奈 由良です。年齢は今年で20歳になります」
「ありがとうございます。マサさんからは何か聞きたい事とかありますか?」
「……それじゃあ、もしこの面接に合格してVtuberとしてやっていけそうですか?」
「はい、もちろん毎日曲げずに配信をしていく自信はあります」
もうこの子採用にしようよ。
めちゃくちゃまともな子だと思うし、今この会社に足りて無いのはこういう子な気がする。そんな事を思いながらスタッフの方を見ると、変顔をしていた。
「この会社は相当頭がおかしいですが大丈夫ですか?」
「はい、元々承知の上で応募しました」
「それはそれで会社の評判がおかしいんですけど」
「マサさん、諦めましょうこの会社は頭がおかしいですから」
「月月火水木金金レベルで会社に居るしな」
「大本営の方がホワイトだと思いますけどね」
「それで、朝比奈さんこんな会話を聞いても、まだ入りたいと思ってくれてますか?」
「もちろん、所属したいと思っています」
これ以上面接する必要あるのかな?
隣のスタッフが終わりの合図?的な事を言ってくれないとどこで終わって良いのかわからない。
面接官なんてやった事ないからな。
俺はただのVtuberで人事課でもないし、隣のスタッフも営業部マネジメント課だし、何でこんな組み合わせにした?
「それでは面接を終わらせていただきます。後日合否を送付する予定だと思います」
「本日はありがとうございました」
朝比奈は席を立ち『失礼しました』と言っても面接室から出て行った。
「マサさんあの子どう思いました?」
「まともな子だね。この会社に足りない人だと思う」
「私的にはとりあえず採用で良いと思うんですよね」
「俺は後輩が増えるだけだからな」
「マサさんどうせコラボしないから、関係ないですもんね」
「このスタッフ、地中海に沈めるか」
「穴があったら入りたいです」
「何でこの人クビにならないんだろう」
「それは私がまだマシな方だからですけど」
「業績だけは良いんだよな」
「そうですよ。これでも優秀なんですから」
「そうか、俺は飯屋行ってくるわ」
「私も付いて行きます」
「問題だけは起こすなよ」
「マイナスとマイナスを掛けるとプラス何で多分問題は大丈夫です」
そのまま俺はスタッフとスガキヤに行った。
他の店でも良かったが、スガキヤが一番会社から近くにあるのでそこにした。
そしたらスタッフはまだ昼なのにもう晩酌始めようとしてるスタッフを横目に俺は明日は何をしようかなと考えていた。
————————————————————
後書き
最近Vtuber見始めたんですけど、顎の人の動画見るのにハマっています。
いいねとかフォローとかしてもらえると作者のやる気が、少し上がります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます