【まさに定番のアレ】web小説の異世界~有隣堂さえ知らない異世界002~

 僕はブッコロー。Real Book ブッコロー。本日付けでミミズクになりました。


「そんなバカな……」


 空は飛べるし、首は回る。「ミミズクというには少し丸っこいけれど、この体もそう悪くない。」そう現実逃避に走っていたとき、木々の隙間から身を出したそれは。


「龍…っ!!?!!!」



「~~~~~~ッ!」

「~~~~~~~~~~」

「~~~!!~~!!!」

「ギャオオオオオオオォォォォォォォォオオオォォォォォオオォォォォォォォォオオオォォォォォッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ」

「~~~~~~~~ッッ!!」

「~~~~~~~~アァァァァァァァァァッッ!!」


 よく見ると、そこにいるのは龍だけではない。ガクガク震えている小太りの男と、それを龍から守るように取り囲む二人の武装した男女。状況から察するに、後ろの馬車は怯えている男のものであろう。


 もはや疑う余地はない。僕はweb小説を読まないが、いち書店員として、僕と彼らの置かれた現状に対し答えを出していた。


******************************************


 なんで…なんでこんなところにドラゴンがっ……!!!


「コルネイコさん!早く逃げるんだッ!」


「ど……どどどどどっどっどっどっど……こ……腰が………」

「立つんだ!!早く!!!」


「ギャオオオオオオオォォォォォォォォオオオォォォォォオオォォォォォォォォオオオォォォォォッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ」


「クソーーーーーッッ!!」

「炎が来るわッ!!!!避けてタカアアアアァァァァァッッ!!!」


 龍。かつては空想上の存在とされた、生きる災害。ほんの数リンで雇われた二人の冒険者は、命を賭して依頼主を守ろうとしていた。


 咆哮を終えた龍が今まさに炎を吐かんとした、そのとき。


「やめなさい。愚かな子らよ。」


 一匹の、本を持ったミミズクが、そう言った。

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