【夏生】Episode5 逮捕

それから、1ヶ月の時間が流れた。


ある日、調査報告書が科捜研に届けられた。


同じ物が義父の元にも届いたらしい。


それを基に令状が作成された。


駿はかなり多方面にいろいろやらかしていたようだ。


そして、徹にその罪を擦り付けていたらしい。


多くに人がマインドコントロールを受けていた。


罪状として強要罪、傷害罪などがあげられる。


また、性犯罪も含まれる。


6月初頭。


僕は、義父と共に駿の元へ向かった。


「濱出 駿!令状だ」


駿の診察室に、入室するなり義父が大声を上げる。


僕は、そんな義父の後ろに立っていた。


義父は、令状と警察手帳を駿に見せていた。


「罪状はなんでしょうか?」


色白で覇気のない若作りの男性が、診察室に座っていた。


そして、彼が駿である。


10年前から年を取っていない。


そう感じるほどに、見た目の年齢が若い。


「軽い罪状なら強制わいせつ、強制性交等罪、売春防止法違反、児童福祉法違反、青少年育成条例違反だな」


そう義父が言う。


確かに、軽い罪状はそんなものだろう。


「医療行為と称して、なかなかあくどいことをしていたらしいな」


「航大さん、そこからは僕が言おうか?」


僕は、あえて義父の事を名前で呼ぶ。


駿に悟らせないために。


「巧君の葬儀以来だね、駿」


「ええ、藤ヶ崎先輩」


「集団催眠に、強姦・・・それと徹くんに催眠を教えたのは君だね。

娘にあんなことをさせた」


調査の結果、冬華にもマインドコントロールが施されていた。


いや、冬華だけではなく優一君にも。


でも、彼は自分でそれを解除していた。


そんな、優一君が冬華を救ってくれた。


彼には、感謝してもしきれない。


「まあ、そう言うわけで来てもらうぞ。濱出 駿」


駿の手首に、ガチャっと音がして手錠がされる。


こうして、彼は逮捕されたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る