【夏生】Episode2 立入

冬華と優一くんが、新学期に入った頃。


遂に、東都市立病院は行政監査が入った。


そこで浮き彫りになったのは、改竄の嵐だったらしい。



お花見の次の日。


僕は、警視庁の会議室に呼ばれていた。


轟 航大。


警視庁捜査一課の課長で、春の父・・・つまり僕にとっての義父である。


そして、会議室にはもう1人。


轟 文雄がいた。


彼は、義父の弟にあたる。


義父は、スーツ姿のボサボサ髪で無精ひげの男性だ。


文雄は、同じようにスーツなのだが角刈りで髭はない。


「すまんな、夏生くん。

急に呼びだして」


「いえいえ、気にしないでください。お義父さん」


「そう言ってもらえると助かる。

それで呼び立てたのは東都市立病院のことだ」


そう、義父は切り出した。


立ち入りからすでに2か月強が経っていた。


「夏生くん、出向を終えて科捜研に戻ってきてくれないかい?」


文雄が、僕にそう言った。


彼は、科捜研の所長である。


僕は、科捜研から監察医として出向していた。


大学・大学院時代に医師免許を取得し、春と結婚した後に警察学校に通うことで科捜研に籍を置くことになった。


「分かりました・・・それで、それが東都市立病院とどう関係が?」


「改竄と精神汚染の疑いが出てきた・・・夏生の担当分野だ」


僕は、法医分野の為だ。


主な専門分野は生理心理学、認知心理学、社会心理学、犯罪心理学、犯罪精神医学、犯罪社会学になる。


「確かにそれは僕の分野ですね。」


「明日から、戻ってこれるだろうか?」


「はい、あちら側は概ね片付いているので」


僕は、次の日科捜研に戻ることになった。

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