【純恋】Episode6 優兄ちゃんと冬華お姉ちゃん


私は、アパートから飛び出すと徹くんの家に向かった。

もう、引っ越してしまっているのかもしれないけど徹くんなら助けてくれるかもしれない。

それに、会いたい。

「はぁはぁはぁはぁ」と私は息を切らせていた。

着いた。

でも、更地になってた。

どうして?

どこにいっちゃったの?徹くん。

あとは、頼れるのは優兄ちゃんだけ。

優兄ちゃんの所に行ったら冬華お姉ちゃんもいるよね。

でも、去年会った時に優兄ちゃんすごくつらそうにしてたけど。

冬華お姉ちゃんに何かあったのかな?

私は、再び走り出した。

こんなに走ったのは久し振りかも。

徹くんのお家から優兄ちゃんのお家までは少しだけ距離がある。

小学校の学区の端から中央辺りだから。

やがて、優兄ちゃんと冬華お姉ちゃんのお家が見えてきた。

2人はお隣同士だからどちらかの家にいたらいいな。

私は、まず冬華お姉ちゃんの家のチャイムを鳴らす。

でも、誰も出てこなかった。

続いて優兄ちゃんのお家のチャイムを鳴らす。

でも、誰も出てこなかった。

どうしていないんだろう。

私は、さっきまで走ってきて疲れたのと辿り着いたことによって安堵してしまったから急に眠気が襲ってきた。


「・・・恋ちゃん、純恋ちゃん」と女の人の声がする。

眠り眼を擦る。

黒髪ロングで私と同じくらいの年の女の子。

少女は、白いワンピースにデニムのシャツを着ていた。


「う~ん、あれ。わたし、寝てた」

「起きたみたいだね」と男の子の声。


私は、立ち上がると辺りを見回した。

髪の毛がさっぱりしてるけどそこには優兄ちゃんがいた。


「優兄ちゃん!」

「私もいるよ、純恋ちゃん」


もしかして、この子が冬華お姉ちゃん?

良かった。何かあったわけじゃないんだ。

あれ?でもそれならどうして去年優兄ちゃんはつらくしてたんだろう。


「もしかして、冬華お姉ちゃん?」

「そうだよ、久し振り」


冬華お姉ちゃんは、私に抱き着いていた。


「それで、どうして純恋ちゃんがここにいるの?」

「えっと、話せば長くなるんだけど」

「じゃあ、中で話そう」


冬華お姉ちゃんは、そういって玄関を開けた。

あれ?冬華お姉ちゃんがなんで優兄ちゃんのお家の鍵を持ってるの?

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