第41話 幼馴染みと命の重み1

僕たちは、家へと戻って来た。

「ねぇ、優一。何か聞こえない?」

冬華が、そう言う。

僕は、耳を澄ませる。

ミーミーと弱弱しくとても小さな鳴き声がどこからか聞こえてくる。

そんな気がする。

子猫?かなぁ。

「仔猫の鳴き声・・・かな?」

「なにか気になる」

「冬華、ちょっと探してみよう」

なにか胸騒ぎがする。

なぜだろう。

「どこからだろう、そう遠くない気がするんだけど」

「う~ん・・・・・・お庭の方かなぁ?」

僕らは、庭の方へと向かう。

庭は、そんなに大きなものじゃない。

一階にある両親の部屋から伸びる縁側と手入れのされてない花壇があるだけ。

再び耳を澄ます。

縁側の縁の下、そのあたりから聞こえる気がする。

「縁の下かな?」

「うん、なんかそんな気がするね」

僕らは、縁の下を調べる。

そこには、横たわる白い猫と6匹の仔猫がいた。

仔猫は、母猫に寄り添っていた。

僕は、違和感を覚えた。

「冬華、急いで春さんを呼んで」

「え?」

「急いで!」

「う、うん」

僕は、冬華を急かす。

違和感の正体。

それは、仔猫が母猫を舐めていたから。

僕は、スマホを取り動物病院を調べる。

そして、検索から一番近い病院へと連絡を入れる。

「優くん、どうしたの?」

「春さん、急にすいません」

「大丈夫よ・・・ああ、なるほど」

春さんも気づいたようだった。

「二人ともどうしたの?」

「冬華は、気づかないのね」

そう春さんが言うが冬華は首を傾げる。

それを見ると春さんは車を取りに向かった。

僕は、家の中からタオルを持ってくる。

母猫と仔猫をそこに包む。

僕らは、急いで動物病院へと向かった。

結局、冬華は気づかなかったみたいだ。

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