第39話 幼馴染みと助言

お互いに着替えをすることにした。

今日は、最初から冬華に色の指定をされた。

「優一、今日はピンクのシャツ着てね」

「いいよ・・・って、ピンクってあんまり持ってないけど」

「うん、確か3枚くらいだよね」

「さすが冬華完全に把握済みなんだね」

「もちろん」

そういうやり取りをして、僕は自室で着替えをしている。

ピンクということなので、コットンシャツにジーンズかなぁ。

中に、Vネックのライトグレーのシャツを着ておこうかな。

よし、決まり。

そして、着替え終えた僕は部屋を出る。

ちょうど、隣の部屋が開く。

そこから出てきた冬華は、ピンクジャケットにデニムスカート、下にはライトグレーのブラウスを着ていた。

「うんうん、思った通り」

「お揃いだね、これでよかったかな?」

「うん、かっこいいよ。優一」

「ありがとう。今日の恰好も可愛いね」

「えへへ、ありがとう」

そうして僕らは、家をでることにした。

ちょうど、玄関を出た時外に春さんがいた。

「え、春さん!」「ママ!」

「もう、二人共サボリ?」

「「ごめんなさい」」

春さんは、笑みを絶やさなかった。

なんで、サボったことに気づいたんだろう。

まさか、学校から連絡が・・・。

「え、あっ。違うの違うの。

朝の様子で言ってたら大変だろうと思ってたから。

サボるのはよくはないんだけどね」

春さんは、ただ心配してくれていただけだったようだ。

僕は、相談する内容があることを思い出した。

「あ、そうでした。春さんに相談したいことがあったんです」

「あら、なにかしら」

「僕、バイトを始めようかと思っていて」

「あらあら、よかったわね。冬華」

「えっと、そんなに分かり易かったですか?」

「ふふ、優ちゃんとも付き合い長いもの。

ほとんど、息子のようなものよ。

決心がついたのなら、それはそれで「ような」じゃなくなりそうね」

僕は、すっかり頬を染めていた。

横にいる冬華もまた頬を染めていた。

「それに、はじめくんと優子ちゃんからも冬華ならって言われてるんでしょ。

貴方たちの事を反対はしないし、私たちは応援するから。

バイトするにしても、無理はしないように。

結婚しようと思ってもまだ一年あるんだから。

今度ゆっくり話しましょう。夏生さんも交えて。

純恋ちゃんの件、もう大人に任せない。

だから、いまは楽しんできなさいね」

春さんは、そこまで言うと自宅へと帰っていた。

冬華は、春さんの姿が見えなくなったら僕の左腕に腕を絡めせて来た。

「ママったら」

「春さんには、敵わないや」

「それよりも」

冬華は、上目遣いで僕を見ていた。

いつまでも、立ち尽くしてても仕方ないな。

「ああ、いこうか」

「うん、そういえばどこに行くの?」

「テーマパークとかも考えてたんだけど時間的についた時にはいい時間になるから、街に出てネコカフェとかどうかな?」

「いきたい、いこう。ほらほらいくよ」

冬華のテンションが上がって僕の腕は引っ張られる。

彼女は、無類の猫好きだからな。

すっかり、いつも通りの僕らに戻りつつあった。

でも、ふとした瞬間に想いが溢れそうになるな。

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