第38話 幼馴染みと溢れる想い
翌朝、僕はベッドで目を覚ました。
横には、冬華が寝ていた。
布団から這い出ようとすると掛け布団がめくれて冬華の肌が露出した。
僕は、急いで掛け布団を戻しベッドから出た。
とりあえず、身支度を済ませ朝食を作ることにした。
う~、ダメだ。どんな顔すればいいかわからない。
僕が階下に来ると玄関のチャイムが鳴った。
いまの時刻は7時過ぎだった。
「は~い、いまでます」
僕は、玄関に行く。
外には、春さんがいた。
そう、春さんだったからなぜか気恥ずかしくなった。
冬華に似すぎているからこそだぶってみえる。
「あれ?優ちゃんどうしたの?
・・・ああ、なるほど」
なにかを察する春さん。
「もう心配で来てみたけど、大丈夫そうね。
ほどほどにね。ふふ、私もすぐおばあちゃんかしら」
そういって、春さんは言ってしまった。
いやいや、勘が鋭すぎないか?
ダメだ、今日このまま学校行ったらまずい気がする。
サボろう、たまには休んでもいいだろう。
「優一、いまチャイム鳴ってなかった?」
そういって、冬華が下りてくる。
パジャマを着ている。
よかった。
「春さんが、心配で見に来てくれたんだけど」
「だけど?」
「バレちゃった」
「えっ」
僕らは、視線を合わせられなくなっていた。
お互いに顔を赤くして。
「ねえ、冬華。たぶん、僕たちこのまま学校行ったらみんなにバレそうな気がするから」
「う、うん。サボっちゃおう」
お互いにこれはまずいのは理解している。
だからこそ、今日を休みにすれば土日でさらに休める。
その間に、慣れるしかない。
「じゃあ、今日はゆっくりすごそ」
「ああ、そうだな・・・」
やばい、気まずい。
でも、冬華といたい気持ちは変わらない。
これからだって、冬華と一緒にいるんだ。
「ねえ、冬華。今日デートしようか」
冬華は、僕に抱き着いてきた。
そして、胸に頭を寄せる。
鼻腔に、冬華の甘い匂いが香る。
「うん、いこっ。
あのね、ちょっとまだ恥ずかしくて優一の顔見れないけど。
それでも、優一といたい。
なんだか、優一の顔見てたらいろいろ溢れてきちゃう。
わたしも、優一にくっ付いていたくて、顔を見たらキスがしたくなって。
なんだか、昨日優一が言ってたみたいになってきちゃった」
僕は、冬華を抱きしめる。
愛おしくて仕方がない。
「昨日より、優一の事がもっと好きになってる」
「僕も、冬華の事が今までよりももっと好きになってる」
僕らは、そのまま長い間玄関で抱き合っていた。
時間が、すぐ溶ける気がする。どうしてだろう
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