第35話 幼馴染みと絶望の日3 後の祭り

始業式も終わり、SHRも終わった僕らは家路についていた。

「ママ、ただいま」

「冬華、優ちゃんお帰りなさい」

藤ヶ崎家へと挨拶に来ていた。

春さんは、すぐ出かけられそうな恰好をしていた。

「二人共、制服だと汚れると困るだろうし着替えてきたら?」

「うん、そうするね。

そういえば、純恋ちゃんは?」

「ちょうど入れ違えで出て行ったとこよ」

「それなら、春さんもうちに来て待ててください。

その方がすぐ出れるんで」

「そうね、そうしましょう」

僕らは、連れ立って僕の家へと向かった。

そして、春さんに待っていてもらって着替えをした。

僕は、青いワイシャツにジーンズと割とシンプルな格好だ。

自室から出るとちょうど冬華が部屋から出てきたところだった。

「「あれ!」」

声をそろえる僕ら。

なぜなら、冬華は青いシャツにデニム生地のスカートを履いていたから。

僕らは、そのまま階下へ向かう。

「お待たせしました」

「あらあら、お揃いにしたの?」

「偶然同じになりました」

「仲良しね」

春さんは、優しい笑みを浮かべていた。


その後、僕らは春さんの運転でイオンへと向かった。

春さんの車は、軽ワゴンである。

夏生さんの車よりは広くはないが、ワゴンなので結構広々している。

僕と冬華は、後部座席でくっついている。

「ほんと、仲良しね。

来月からどうしましょうか?」

「そうですね、僕としてはこのまま冬華と一緒に暮らしたいですが。

それだと両親もいるので」

「私たちとしては二人の意思を尊重するわよ」

僕は、冬華を見る。

彼女もまた僕を見ていた。

「そう言っていただけるなら、このまま一緒にいてもいいですか?」

「ママ、私も優一と一緒にいたい」

「ええ、いいわよ。

あとは、はじめくんと優子ちゃんの許可もしっかり貰ってね。

まあ、いいといいそうだけど」

僕らの同棲は、変わらず続きそうだ。

冬華が、ニコニコと零れそうなほどの笑みを浮かべていた。


やがて、少し渋滞もあったが13時過ぎくらいにイオンに着いた。

「何食べましょうか?」

「そうですね、フードコートでいろいろ頼んでみますか?」

「それ、賛成」

冬華が賛成したので、フードコートに向かった。

「優ちゃん、ありがとうね。あの子の笑顔戻してくれて」

「僕も、冬華の笑顔好きですから」

春さんは、優しい笑みを浮かべていた。


その後、冬華がいろんのお店をめぐっていろんなものを買い込んできた。

フライドチキン、唐揚げ、ハンバーガー、うどんなどなど。

「冬華・・・主食ばっかあるんだけど。

おかずも肉だらけだよ」

「冬華に任せた、私が間違いだったみたい」

そういって、春さんはいろんなお店を巡りに行った。

僕は、とりあえず冬華の買ってきた物を食べていく。

「冷めると美味しくなくなるから、食べておこうか」

「うん、そういえば今朝の話どうなったのかな?」

そういわれて僕はスマホを見る。

スマホに表示された時間は、もう14時を回っていた。

「え、もう14時か。はやいなぁ」

「え、はやい」

僕は、メッセージが来てないか確認する。

すると、グループチャットが動いていた。

『優一、いないのか?』と陽太がメッセージを送ってきていた。

優一「ん?どうした?」

陽太『西高、やばいことになってるぞ』

僕は、すぐに冬華にも僕のスマホを見せる。

一体、西高になにがあっただろう。

陽太『西高に通ってる友達がいてな。いま、警察が来てるらしい』

優一「それを僕に言うってことは」

陽太『直前にすれ違ったらしい例のサイドテールのおっぱいちゃん』

優一「純恋ちゃんの身になにかあったってことだな」

僕が視線を上げると春さんも不思議な顔をして僕の顔を見ていた。

春さんにも見ていいと目線で告げる。

陽太『結果から言う保護者と口論になって屋上から転落したらしい』

僕は、頭が真っ白に一瞬なった。

そんな僕を、冬華が抱きしめていた。

「ありがとう、冬華」

「ううん、優一一人で抱え込まないで私がいるから」

「優ちゃん、私もついてるから」

その後、僕らはその日起きたことを聞くことになる。

古野 純恋が、見舞われたことを。

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