第23話 幼馴染みとお花見

僕らは、寄り添いながら桜の木を眺めていた。

冬華は、僕の左腕に腕を絡めて顔を僕の腕に寄せていた。

「えへへ、幸せ」

去年の僕は、ある施設の手伝いをしていた。

春休み中、住み込みで。

桜を見るのは随分久し振りな気がする。

「ねえ、優一。去年はどこにいってたの?

何度行ってもいなかったけど」

「えっと、見てるのが辛くて。

父さんたちに頼んでボランティアにいってたんだ」

「そうなんだ、ごめんね」

「いや、そのことはもういいんだ。

いまは冬華といられるんだからさ」

僕は、冬華の頭を撫でていた。

そして、ふと思い出したことがあった。

「あ!思い出した。

僕さ、その施設で純恋ちゃんと会ったんだけど」

純恋・・・僕らのもう一人の幼馴染み。

僕らが、小学3年の時に引っ越してしまった。

古野 純恋(ふるや すみれ)。

一つ年下の内気な子だった。

「純恋ちゃん!ええ、懐かしい。

あれ?でも、優一どこまで行ってたの?」

「え、北海道」

「それはいないはずだよね」

「住み込みで、2週間くらいいってたからね。

入学式の朝に帰ってきたくらいだから」

僕は、ギリギリまで施設で手伝いをしていた。

ちょうど、その時に純恋ちゃんと再会した。

彼女は、両親の転勤で各地を転々としていた。

ちょうど、去年は北海道にいたらしい。

僕もある件でそこへ行っていたのだけど、内容は伏せさせてもらう。

「あ、内容はちょっと言えないんだけど。

施設のお手伝いと思ってくれると嬉しいかな」

「守秘義務とかだよね、大丈夫聞かないよ。

純恋ちゃんは、どんな感じだったの?」

「内気なとこは変わらないけど、一生懸命やってたかな」

「そうなんだ、また会いたいな」

僕たちは、桜を見ながら出店を楽しむことにした。

いろんな出店が出ていて目移りしたのは内緒。

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