幼馴染み、また拾いました
第22話 幼馴染みと春休み
あれから、季節は流れ春休みになった。
来栖の一件から1組の授業はだいぶ遅れた。
リモートでの授業も多くなっていた。
リモート授業の所為で、冬華が一緒に登校できないと文句を言っていたこともあった。
冬華の学力は、だいぶ上がってこの間の期末では300位以下くらいだったのが30位くらいまでに上がっていた。
やればできるのに、空回りしていたんだと思った。
たぶん、今年は同じクラスになる気がする。
成績が近いほど同じクラスになりやすいから。
特に今年は修学旅行があるから、冬華とは一緒がいい。
「優一、準備できた?」
玄関を開けて、冬華がやって来た。
今日は、これからお花見にいく。
夏生さんの運転で、ちょっと遠出である。
「できてるよ」
僕は、ショルダーバックを肩に掛けて玄関へ向かった。
冬華は、白いワンピースにデニムのシャツを着ていた。
「今日もかわいいね」
「えへへ、優一もかっこいいよ。
新しい髪形も似合ってる」
僕は、この機にとおもって昨日髪を切った。
まだ、目線が隠れていないことに慣れないけど慣れていこうと思う。
僕は、バッサリ前髪を切り全体的に短くした。
店員さんに短くと言ったらこうなった。
ソフトモヒカンというらしい。
玄関を出ると家の前に夏生さんの青い車が来ていた。
「乗って乗って」
僕は、冬華に促されるように後部座席に座る。
「夏生さん、今日はよろしくお願いします。
それにしても、家族水入らずに僕も参加してよかったんですか?」
運転席にいる夏生さんに声をかける。
助手席には春さんも座っていた。
「優くんは家族だと思っているけど、違うかい?」
夏生さんにそう言われて照れくさくなった。
幼い頃から、両親の仕事の関係で家族同然の関わり合いがあったからそう言ってもらえると嬉しい。
「そうそう、優ちゃんは冬華の旦那様になるんだから息子のようなものよ」
「もう、ママ!」
初詣の時に冬華に言ったことが、筒抜けになっていた。
家族仲がいいのはいいとは思うが恥ずかしい。
やがて、車窓は景色を変えていく。
冬華は、いつの間にか寝ていて僕の肩に頭を乗せていた。
「優ちゃん、ごめんね。
冬華、優ちゃんとお出かけだからってはしゃいでたから」
「あはは、学校のあったときは勉強ばかりでしたからね。
最近は、お出かけもできてなかったので」
リモート授業のこともあり、3学期はほとんど自宅で勉強ばかりしていた。
もう少し、冬華とスキンシップは必要だよな。
今度、デートにでも誘おう。
「優くん、冬華の勉強見てくれてありがとう。
すごく成績が上がってびっくりしたよ」
「あはは、だいぶ冬華が無理してたのは知ってたので。
それとごめんなさい。僕はその時に助けてあげれなかったです」
「優ちゃんの所為じゃないから。
全部あの子の所為よ。自作自演で貴方たちを苦しめて救って見せてた」
「え?自作自演?」
僕の頭が処理を拒んでいた。
自作自演ってどういうことだろう。
「あら?優ちゃん気づいてなかったの?」
「いや、なんのことですか?」
「貴方達はほんとに心配になるわね」
意味が全然分からない。
徹の事なのはわかった。
けど、自作自演の意味が分からない。
「貴方達が小学生の時、いじり始める原因があの子。
扇動して、活発になったとこで救って見せるっていうね。
ホント、悪趣味よね」
僕は、真っ白になった。
ああ、そういうことなんだと働かない頭が答えを出していた。
でも、どうしてそんなことを。
「もう済んだことね。私たちは、二人の事を応援するから。
冬華の相手は、優ちゃん以外認めないから。
冬華わかった?」
「はぁい。それに私も。優一がいいもん」
冬華は、寝たふりをしていたみたいだ。
そして、僕の顔を見てそんなころを言った。
「僕も冬華しか嫌だな」
「あらあら」「優くん」
あ、しまったと思った。
彼女の両親の前でそう告げてしまったのだから。
「もう、優一ったら」
冬華は、僕に抱き着いてきた。といってもシートベルトがあるから腕までが限界だったようだが。
僕は、恥ずかしくなり車窓に視線を移した。
外は、一面の桜が咲き誇っていた。
山一面の桜に心が躍った。
「さあ、到着だ。出店も出てるからゆっくりしていこう」
そう夏生さんがいった。
「じゃあ、冬華。優ちゃん。
ここからは、別行動ね」
家族水入らずかと思ったが、夫婦水入らずにしたいからだったようだ。
やがて、車が停まる。
僕らは、外へ出て花見を楽しみのだった。
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