第13話 幼馴染みと明日の約束

気が付くと夕日が差し込んでいた。

いつの間にか、二人で寄り添ってソファで寝ていたようだ。

僕は、メッセージを何も返していないことに気が付いた。

スマホに視線を移す。

グループチャット以外にもメッセージが来ていた。

冬華の母 春さんからだった。

『優ちゃん、もしかして冬華お邪魔してる?』

時間を見るとさっき入ったばかりだった。

「来てますよ」

『よかった、優ちゃんのとこにいるなら安心ね』

とそのメッセージが来たと同時に玄関のドアが開いた。

春さんなら、うちの鍵持ってるか。

母さんが、預けてるはずだし。

春さんは、冬華に似ている。

黒髪ロングで背丈も変わらない。

でも、表情は大人で。

「優ちゃん、冬華のことありがとうね」

「春さん、もしかして徹のこと?」

「ええ、ニュースになってるから。

私、あの子大嫌いだったの」

「え?」

「ほんと二人は純粋というかなんというか。

もう、この子はこんな安心した顔して」

春さんは、冬華の顔を覗き込んでいた。

頬をつついた見せるが、冬華は目覚める様子はない。

「優ちゃんのそばにずっといればよかったのに。

私、優ちゃんならお義母さんって呼ばれてもいいと思ってるから」

「あの・・・春さん?」

「優ちゃんも思いつめた表情も晴れてるからこの子に伝えたんでしょ。なんでって、顔してるけど。

これでも、優ちゃんの親代わりでもいるのよ」

僕の両親と冬華の両親は、それぞれが親友で学生時代から交友があったと聞いている。

人生の大半を、共にしているらしい。

「あははは・・・」

「この子が起きたら帰ってくるように言っておいてね。夕飯作らなきゃ」

そういうと春さんは、帰っていった。

親って、すごいなと思ってしまう。


それから、一時間くらいが経っただろうか。

冬華が目を覚ましたのは。

「あれ?私、寝てた?」

「かなりぐっすりと。

春さんにほっぺたつつかれてたけど目覚まさないくらいに」

「え、ママ来たの!」

「帰ってくるようにってさ」

「はぁい、じゃあ帰る・・・ぶぅ、じゃあ優ちゃん。

明日、遊びいこ」

「いいけど、勉強は?」

冬華が渋い顔をする。

心底したくないんだなと分かった。

「まあ、約束もしてたし。遊びいこっか」

「うん!じゃあ、明日」

そういって、冬華は自宅へと帰っていった。

急に、静かになっちゃったな。

でも、明日か。

また、明日も冬華に会える。



第1章 完



はい、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

ここで、『拾った』お話は終わりになります。

次話からは『癒す』お話です。

まあ、ここまで読んでいただいた方はお気づきだとは思いますが

『癒し』いる?ってレベルです

まあ、甘やかすが正しいかとは思います。

では、また。

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