第5話 幼馴染みと和解

僕は、中学の卒業式の日。

ホントは、冬華に告白をするつもりでいた。

でも、それは叶わなかった。

僕が欲しくてやまないものを徹に奪われた。

あの日、徹は僕の中では友達ですらなくなっていた。

今思っても怒りが湧いてくる。

僕は、冬華の事が好きだ。

もう、絶対に誰にも渡さない。


「優ちゃん」

僕は、キッチンで洗い物をしていた。

下がって来たからそんなに時間は経っていない。

「起きて大丈夫か?」

「うん、ありがとう。

えへへ、優ちゃんはやっぱり優しいね。

わたし、ひどいことしてたのに」

冬華が、僕にひどいこと?

何かされていたかな?

一方的に僕がしていただけの気がするんだが。

「ひどいことをしたのは僕の方だ。

冬華を避けていた。幼馴染み同士が恋人になってそばにいるのが辛くなって」

「わかってたよ、だからわたし・・・そのことをずっと謝りたかったの」

「だいじょうぶだ、わかってるから」

僕は洗い物を終わらせ捨て猫みたいに縋るような瞳をした冬華のそばへ行く。

壁にもたれてないと立っていられないほどなのに彼女は、階段を下りてきたのかと思った。

僕は、冬華を抱きかかえる。

「優ちゃん、この姿勢は恥ずかしい」

「とりあえず、ベッドに戻ろうな」

「う、うん」

僕は、お姫様抱っこをして二階にある自室へと戻った。

ベッドに横にさせる。

「ああ、冬華。

ごめんな、昨日流石にあのままだとって思って着替えさせた」

「ううん、ありがとう。

ごめんね、子供みたいな見た目で」

「いや、そんなことは・・・」

冬華の見た目は、幼い。

身長も、150cmあるかないかくらいだし。

胸も容姿に反して大きいというわけでもなく慎ましいとしか言えない。

まだ、あどけない少女・・・いや美少女である。

顔立ちは整っている。

お人形さんのようだともいえる。

「こんな見た目だからわたしは・・・」

「バカ、そんなことない。

あんな奴忘れて僕にしとけばよかったんだ。あっ!」

僕は、何を言ってるんだ。

自分の気持ちを吐露していた。

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