第4話 幼馴染みへの想い

冬華は、目を赤くしているがもう泣き止んでいた。

「だいぶ冷めちまったけど食べるか?」

「うん、泣いたらお腹空いちゃった」

「じゃあ、ほら口開けろ」

僕は、スプーンで掬って彼女の口に近づける。

冬華はそれを食べていく。

そうして、茶碗の中身を彼女は食べきった。

「じゃあ、薬も飲んどけ」

「ふふ、優ちゃんありがとう」

「笑えるようになったなら、もう大丈夫だな」

僕が、片付けに行こうとすると冬華が袖口を掴んで放してくれない。

「どうした?」

「いかないで・・・いま一人になるのは怖いの」

「冬華、ここは僕の家で、ここは僕の部屋だよ。僕がどこかに行けるとこはないと思うんだけど」

「そ、そうだよね・・・」

「とりあえず、片付けしたら戻って来るから。少し待ててくれ」

「優ちゃん、ありがとう。

えへへ、優ちゃんは優しいね」

「ば、バカ。別にそんなんじゃねえよ」

僕は、照れくさくなって片付けに階下へと下がった。

調子が狂うな、弱弱しい冬華なんてらしくない。

見てられないよ。

僕、木倉 優一の幼馴染み 冬華は、太陽のように明るくいつも元気いっぱいで、周りを引っ張っていくそんな女の子だ。

だから、いまの冬華は冬華だけど冬華じゃない。

涙なんて、似合わなすぎるよ。


徹の噂は知ってた。

でも、幼馴染みだから信じていた。

そんな奴じゃないって。

徹は、別の高校に通っている。

冬華以外にも数人と付き合っているゲスだって。

まあ、それを聞いたのは昨日の男子会の時なんだけどね。

僕は、冬華に会う前から危惧していたのかもしれない。

冬華を救ってあげたい。

幼馴染みだからというと徹と変わらないから別の結びつきが欲しいけど、あとは友達くらいしか思いつかないけど。

なんだか、幼馴染みよりも細い結びつきに思えてしまう。

もう、冬華から逃げるのは止めよう。

気まずくて身を引く必要はないわけだし。

だめだ、考えると抑えてた想いが蘇ってきてしまう。

いまは、絶対にダメだ。

弱っているところを狙ったみたいになるじゃないか。

僕が、冬華を癒してあげよう。

もう、だれにも・・・。

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