第3話 傷心の幼馴染み
風邪の時は、おかゆかな?
そう考えて、僕はおかゆを作ることにした。
タマゴは、いくつかまだあるしタマゴおかゆでいいだろう。
まあ、おかゆなんてものは誰が作っても同じだろう。
あ、雑炊喰いたいな。
さっきの汁にあとでご飯いれて食うか。
僕は、おかゆをもって自室へ行く。
コンコンとノックをして入っていく。
「優ちゃん・・・・」
「おかゆ、置いとくわ」
上体を起こそうとしているのが見えて僕はすぐにおかゆをテーブルに置いて支えた。
9ヶ月に見た冬華はすごく儚く見えた。
風邪だからというわけではない。
昨日、何かがあったんだろうな。
僕のとこに来るくらいだから。
「優ちゃんは・・・なにも聞かないんだね」
「どうせ、明日になったらまたただの疎遠な幼馴染みに戻るだけだからな」
「やだよ、優ちゃんまでいなくなるの」
ん?「まで」ってなんだ。
それじゃまるで・・・。
冬華は、また涙を流していた。
僕は、彼女の頭を撫でる。
幼い頃に泣いていた冬華をあやしていた時の様に。
「わかった、しゃべれるようになったら聞いてやるから」
「うん、ありがとう」
僕は、彼女が泣き止むまで頭を撫で続けた。
冬華は落ち着いてきた。
涙は止まったようだ。
「わたしね、徹くんに裏切られてたの」
「はぁ?」
「イブにドタキャンされて、でも諦められなくて徹くんの家に行ったの」
冬華の目から涙が零れた。
「そしたら、知らない女の子と寄り添って出かけて行ったの」
徹には、女の兄弟も親戚もいない。
それは、僕らが一番知っている。
だって、幼馴染みだから。
「その後ろをつけていったらホテルに・・・」
「もういいからそれ以上いうな」
僕は、咄嗟に抱きしめていた。
もう見てられなくなった。
「僕は、そばにいるから」
なぜ、僕は疎遠にしてしまったんだろう。
罪悪感で胸が締め付けられる。
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