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「何とか成功したな……」

 ようやく落ち着きを取り戻した登が言った。

「でも、目の前に現れた時はどうなるかと思ったわ」

 直也が胸をなで下ろしながら言う。

「しかし、剛司さんの落ち着き払った煙草攻撃は最高でしたね」

 妙子の肩を抱きながら、彬が言う。

「火だるまに成ったのを見た時は、圧巻やったで」

 自慢げに剛司。

 彼ら七人の車は、福島漁港へ向かって走っていた。運転は光一が務め、助手席には雅が座っていた。

「予備を用意でけへんかったな」

 運転をしながら、光一が言う。

「ああ……」

 雅が考え事をしている様子を見て、光一が尋ねた。

「どないした?」

「いや……。ただ、あいつら……どこからあんなに現れたのかって考えてた」

「………」

「もし、港でもあんな状態になったら……」

「………」

 雅の言葉で、光一は言葉を失った。


 一時間後。

 車は、光一の運転で走り続けていたが、後ろのテーブル席では、六人が話し合っていた。

「とにかく、港にもゾンビはウジャウジャ居るに違いないやろ」

 雅の発言に、一同は頷いて答えた。

「かといって、このままじゃ、脱出どころじゃない」と雅。

「食料が無くなれば、また、襲撃ってのもな……」登が腕組みをしたまま言うと、向かい側に座っていた剛司が「武器でもあればなぁ……」と呟いた。

「武器なぁ……」と直也。

「鉄砲やライフルがあれば……奴らに対抗出来るのに」

 一番後ろのベッドルームの端に腰掛けた彬が言う。

「作れば……ダメ?」彬の隣に座っていた、妙子。

「………」

 妙子の突拍子もない言葉に、一同は拍子抜けた様に黙り込んだ。

「お前、アホか。作るって鉄砲が作れんかい」

 彬が妻の妙子を諫めている時、雅が言った。

「鉄砲は無理でも、槍なら出来る」

「ヤリ?」

 雅の隣に座る登が、雅の顔を見ながら聞き返した。

「そう、槍。 ……ドライバーやスパナよりは、きっと役に立つ」

「そりゃ、役に立つのは分かるけど……でも、それでは今までとあまり変わらないんじゃ……」と直也。

「だが、接近戦をしないですむぶん、今よりはずっと良い筈や」

「しかし、その為には材料を調達しないといけない……」登。

「せや……。それが問題なんや、な……」雅。

「でも、やる価値はあるな」と剛司。

「危険を承知で、材料の調達をするんか?」登。

 数時間前に死ぬ思いをした登は、ゾンビの怖さを誰よりも知っていた。



 雅と剛司の二人は、半ば強引に登を説得した。初めは断固として反対していた登も、雅と剛司の熱意に負けてしまった。しかし、登の反対論の方が正論である事は、雅や剛司にも分かっていた。それだけ、今回の彼らの行動は無謀と言えた。

 彼らは、一度に沢山の材料が揃う場所を襲撃する事に決めた。狙う場所は、ホームサービスセンター・コーナである。

 武器の数が少なく、接近戦でしか戦う事の出来ない彼らは、二台の車を手配する事で、その行動力を大きくしようと考えた。

 路上に止めてあった軽自動車と軽トラックを、雅・剛司・光一の三人が準備した。光一は、元暴走族出身だけあって、車の盗難はお手のものだった。


 五百坪に大きな建物が建っていた。一階建てだが、中の広さはかなり大きい。彼ら七人は、その建物の近くにいた。

「めちゃくちゃ、多いぞ」双眼鏡でコーナの中を見ていた剛司が言う。

「でも、やるしかない……」と雅。

「ああ……。じゃ、予定通りやるか」と剛司。

 剛司の号令で、彼らは三台の車に別れた。

 キャンピングカーには、彬と妙子が乗り込んだ。彼らの役目は、コーナの駐車場にいるゾンビ共の足止めと緊急時の応援だった。

 軽自動車には、登と直也が乗り込んだ。彼らの役目は、店内のゾンビ共の囮役だった。 そして、一番危険と思われる軽トラックには、光一・雅・剛司が乗り込んだ。彼らは、材料調達係で、運転は光一で、雅と剛司は荷台の上に乗って物資を運ぶ役目であった。


 三台の車は、ゆっくりとコーナの駐車場に入っていった。想像以上に、ゾンビたちが群がっていた。男性ゾンビや女性ゾンビだけでなく、子供ゾンビの姿も見られた。

 コーナ入り口前で、直也が運転する軽自動車がUターンし、勢いを付けてバックから突っ込んだ。

 店のガラス扉が音を立てて壊され、軽自動車は、そのまま店内で体勢を整え、店内奥に進んでいった。

 驚いたのは、生きるし屍と成ったゾンビたちであろう。彼らは、異常な音に反応し、直也・登の乗る軽自動車の後を追いだした。

 それを見ていた彬は、キャンピングカーを動かし、駐車場にいるゾンビ共をひき殺しながら、駐車場内で車をグルグルと走らせた。

 店内のゾンビと、駐車場内のゾンビ共が、二台の車に気を取られたとき、光一が運転する軽トラックが、いよいよ動き出した。

 荷台の上に乗る、雅と剛司の心臓は今にも破裂しそうだ。過去、これほどまでの恐怖があっただろうか。


 光一の運転する軽トラックは店内を走り回り、武器になりそうな物を探し回る。その周りには、ゾンビ共が押し寄せてくる。荷台の上に乗った雅と剛司は、少し長めのたいまつを片手に、ゾンビ共を牽制していた。

「あかん、剛司。これじゃキリがないわ」

「ほんまや。こんなに多いとは……」

 雅と剛司は、片手で荷台の手すりを持ち、もう片方でたいまつを振り回していた。

「剛司! あそこで止まるぞ!」

 運転していた光一が、鉄パイプ類のコーナーを見つけ、そこで止まる事を大声で知らせた。

「わかった!」

「剛司、気をつけろよ」

「お前こそ」

 二人は励まし合い、心の準備をした。いよいよ危険作業開始である。

 一方、駐車場の彬たちは、順調にゾンビたちをひき殺しながら、順調にゾンビたちを引き寄せていた。

「彬、大丈夫?」

「ああ。全然、大丈夫や」

「みんなは、どうかな?」

「多分、大丈夫やろ……。あの人らは、凄いから」

「そうよね……」

 彬の運転するキャンピングカーのボディーは、ゾンビたちの返り血で染まっていた。彬自身、奴らを車でひき殺す事を楽しんでいた。

 奴らは面白いように死んでいく。フロントガラスでは、ゾンビの返り血を除く為に、ワイパーは動きぱなしである。キャンピングカーの長さは、約7メートルと大きく、駐車場内でグルグル回りながら走るのが、少し大変だったが、今の彬には、それすら楽しかった。


 店内では、走り回る軽自動車が、彬たちと同じ事をしていた。

「ウヒャー! ワオ!」運転していた直也は、有頂天になっていた。車でゾンビたちをひき殺す事に快感すら感じていた。

「お前、真面目にしろや!」

 登は、有頂天になっている直也を諫めるが、直也は懲りずにわめき散らす。

「ハハハハハ! ヤッホー! こいつら、皆殺しや!」

「直也! ええ加減にしろ!」

「なんやねん、登。こんな奴ら、これぐらいしても罰は当たらへんで」

「違うがな。油断せんと、真面目にしろって言うてんや」

「真面目にしてるやろ」

「お前! 車の中やからそんなこと言えるや! 雅や剛司の事も考えろ!」

 登の言葉で我に返った直也は、あらためて雅たちの危険さを考え、自分たちの任務の重要性を思い出していた。

 そんな危険な任務を自らが買って出た雅と剛司は、今まさに一番危険な状態であった。 荷台から降りた雅と剛司の二人は、剛司が鉄パイプ等を荷台に積み込み、雅がゾンビをたいまつで牽制していた。二人の周りには、五匹のゾンビだけだったが、十メートル程向こうからは、十数匹のゾンビが接近してきていた。

「剛司、まだか!」

「もう少しや!」

 ゾンビを牽制するのにも限界があった。

「よし! 終わった!」

 剛司の合図と共に、二人は荷台に乗り込んだ。

「光一、オッケや!」

 荷台に乗った剛司が、光一に言う。

 光一は、軽トラックを急発進させた。

「雅、次は?」

「刃物類に行こか」

「おっしゃー。光一、今度は刃物や!」

 光一は、天井部分からつり下げられている案内板を見ながら、刃物コーナーへと車を走らせた。荷台では、数十本の鉄パイプが重なり合い、ガチャガチャと音を立てていた。

 雅と剛司は、ハアハアと息切れしていた。大した運動をした訳ではなかったが、極度の緊張感で、そうとう体力を消耗していたのだ。

「剛司、大丈夫か?」

「ああ、いけるで……」

 荷台に乗り込んでから、急激に疲れを感じ、お互いが気づかっていた。

「剛司! 着くぞ!」

 刃物コーナーに近づき、光一が荷台の二人に声をかける。

「剛司、化け物共の数は知れてるな」

「ああ……、五匹やな」

「二、三匹は殺っとかなあかんな……」

「じゃ、一人、二匹で」

「よっしゃ……」

 車は刃物コーナーで停止した。荷台に乗っている二人は、先ほど手に入れた鉄パイプを手にして車から飛び降りた。それを見たゾンビたちがゆっくりと近づいてくる。

 雅は持ち前の運動神経を生かし、速攻攻撃に出た。ゾンビに向かって走り出し、ゾンビの頭をめがけて鉄パイプを振り下ろす。直撃と同時に、赤い血が噴き出した。元々、腐敗している肉体である。通常の人間よりは弱い。続けざまに、もう一人をめがけて行動する。今度は距離が近かった為、ゾンビの膝を横から叩き、ゾンビを倒した。雅は倒れたゾンビを跨ぎ、両腕を踏みつけながら、顔面に鉄パイプを突き刺した。

 剛司は持ち前のパワーを生かし、ゾンビ二体を同時に攻撃した。野球のバッターの様なスタイルを取り、近づいて来た二匹のゾンビの頭部めがけてフルスイングした。二匹のゾンビの首が胴体から離れた。

「雅! もう一匹も殺っとくわ!」

 剛司は、もう一体のゾンビに跳び蹴りし、倒れたゾンビが起き上がって来たところを頭部めがけて、鉄パイプを振り下ろしていた。


 駐車場内で暴れ回っていた彬は、相変わらず余裕で狂喜乱舞していた。車でひき殺しているゾンビの数は増える一方で、彬自身、余裕が油断に変わってきている事に気づいていなかった。

 彬は、大きく旋回しながら車を動かしていたが、突如、車が傾いて止まってしまった。気を付けて見ていれば分かったはずの溝が、余裕という心の隙間に油断を呼び込んでしまったのだ。

 溝に落ちた右前輪のタイヤは、空回りするだけで、車はビクとも動かなかった。

「どうしたの? 彬……」

 傾いて止まってしまった車内で、妙子が心配そうに言う。

「ああ……どうやら、溝にはまったみたいや」

「じゃ……、動かないの?」

「ああ、あかんみたいや……」

「・・・・・・」

 妙子は恐怖で言葉が出なくなり、彬は焦りと恐怖で脂汗が吹き出ていた。バンバンという音が響いた。振り向いた彬の目の前に、ゾンビの顔があった。彬は、ゾンビと目が合い、驚いて後ずさりする。

 ゾンビたちの群が、彬たちのキャンピングカーを取り囲もうとしていた。


 一方、有頂天になって軽自動車を走らせていた直也にも油断が危機を招いていた。

 軽自動車でゾンビを轢き殺しながら大きく旋回しようとした時、車が横滑りし、壁に激突したのだ。

 軽自動車のエンジンが止まり、車が動かなくなってしまった。

「だから言わんこっちゃない!」

 助手席の登が怒鳴る。

「・・・・あかん、登! エンジンがかからへん!」

「うそやろ! マジか!?」

「マジやって!」

 直也の額から脂汗が吹き出る。二人の乗った軽自動車の周りにゾンビが群がって来ていた。


 五匹目のゾンビを倒した剛司は、雅と共に刃物類を軽トラックに積み込む作業を始めていた。

「雅、これくらいでええやろ」

「ああ」

 大量の包丁を荷台に積み込んだ二人は、次の場所に移動しようとした時、別の方向から、「ウワー!」と言う叫び声を聞いた。

「剛司! あの声は!」

「直也や!」

「何かあったんや!」

「雅! 行くでぇ!」

 剛司と雅が軽トラックの荷台に乗り込んだのを確認した光一は、車を急発進させ、猛スピードで直也たちの方に向かった。

「急げよ、光一!」

 荷台の手摺りをしっかり握りながら、剛司が叫ぶ。

「おお!」

 元・暴走族である光一のハンドルさばきは絶妙で、多少の横滑りはすぐに立ち直っていた。

「急げ、急げ・・・」

 剛司は独り言を呟きながら、鋭い目つきで辺りを伺っていた。

「剛司! あそこや!」

 光一が前方に群がるゾンビ共の方を指さした。

 そのゾンビの群れから、二人の人影がこちらに向かって走って来ていた。

「雅! あいつらや!」

「光一! 車ごと突っ込め!」

 ゾンビの群れに向かって、光一はアクセルを踏み込んだ。

 群れから逃れて、走っていた直也と登は、雅たちの姿を見て、一目散に車の方に駆けてくる。

 軽トラックが、直也たちと行き違いになった時、光一は車のハンドルを左にきった。車は横滑りしながら、スピーンターンした。

「直也! 早よ乗れ!」

 荷台の上の剛司が直也に手を差し出す。同じように、雅も登に手を差し出していた。

 二人が乗り込んだ事を確認した光一は、全速力で車を走らせた。


 傾いたキャンピングカーの中では、彬と妙子が恐怖に陥っていた。

 車の周りには、無数のゾンビたちが群がっていた。

「彬、どうしよう……」

「うん……」

 どうすることも出来ない彬は、妙子を強く抱きしめる事しか出来なかった。

「雅さんらが、きっと助けに来てくれるよ」

「でも、車が動かないのよ……」

 バンバンと無数のゾンビたちが、車の車体や窓ガラスを叩く。

 虚ろな眼差しが、よりいっそう二人を恐怖させた。

「妙子」

「うん」

「俺が奴らを引きつけるから、お前は、雅さんたちの方に走って逃げろ」

「ダメよ! そんなの絶対にダメ!」

「だけど、このままだったら、二人とも奴らの餌食になるだけや」

「それでもいいの!」

「妙子……」

 二人がそんな会話をしている時、『プップッー』と車のクラクションが鳴り響いた。

 彬と妙子は、窓から外の様子を見ると、そこには雅たちの姿があった。雅たちは、軽トラックの荷台の上におり、まっしぐらに彬たちの方に向かっていた。

「雅、車が傾いてるぞ」

 剛司の指摘で、荷台の上にいる四人は一斉に車の状態を確認した。

「ゾンビ共の数も半端じゃないな……」

 登が呟く様に言う。

「雅、どうする?」

 剛司が訊いた。

「うーん……。光一! 車止めてや!」

 雅の声が聞こえた光一は、車をゆっくりと止めた。

 辺りにはゾンビはおらず、ほとんどのゾンビが彬たちの方に集まっていた。

「俺たちで、奴らをおびき寄せるしかないな」

「しゃけど、それは危険過ぎるぞ」

「ああ……しゃけど登。あの車が無くては、どうしょうもないやろ」

「………」

「雅。あいつらをおびき寄せても、あの車の状態やと……」

「うーん……」

 剛司の問いかけに、腕組みをして考え出す雅。

「剛司。こっちにも来よったで」

 直也の言葉で、全員が後ろを見た。

 店内からウジャウジャと、ゾンビたちが外に出て来ていた。

「このままやと全滅や! 雅、剛司! 早よ、逃げよう!」

 先ほどの恐怖で、直也は半狂乱気味になっていた。

「直也、落ち着け!」

 剛司の言葉で、我に返った直也。

「ごめん……。でも、どうする?」

「登、何かいいアイデアないか?」

 剛司が問うが、登も答えることが出来ない。

 途中で止まったままの軽トラックを見ながら、彬たちは不安がった。

「何で、助けにこないんや!」

「…………」

「まさか、あいつら。俺たちを見捨てるつもりか……」

「そんなことないよ」

「でも、それやったら、何で、止まったまんまやねん」

「それは……」

 動こうとしない雅たちを見て、彬は疑心暗鬼に陥っていた。

 そんなことも知らない雅たちは、この状況をどうするか必死で考えていた。

「あかん、だいぶ寄って来たで」

 直也が焦りながら言う。

「もう、あかんな……。雅、とりあえず脱出しよや」

 後ろから無数のゾンビが寄って来ているのを見た剛司が、最後の決断を口にした。

「いや、ちょっと待ってや、剛司」

「どないした?」

「俺に考えがあんねん」

「どんな?」と登。

「うん」と言うと、雅は運転席の天井を叩きながら、光一に声をかけた。

「光一」

「うん?」と光一は、窓から顔を出して雅の方を見た。

「光一。火炎瓶の作り方知ってるか?」

「火炎瓶? ああ、知ってるで」

「よし、なら早速、作ってくれ」

「今すぐにか?」

「ああ」

「でもよ、材料が……」

「材料って、何がいる?」

「えーと……ガソリンと瓶と……ウエスかな」

「よし! じゃ、光一。店の中に戻ってくれ」

「えっ!? マジで?」

「ああ」

「ちょっと待てよ、雅。いったい何すんねん?」

 登が不思議そうに雅を見ると、雅はニャと笑って語り始めた。

「あいつらを火だるまにするんや」

「火だるま?」

「ああ、キャンピングカーの周りにいる奴らを火だるまにして全滅させる」

「マジかよ。でも、車に引火したら大変やぞ」

「それは大丈夫。ある程度はおびき寄せるから」

「でも、後ろから来る奴らは?」と直也。

「それも大丈夫。材料を調達するときに材木系や固形燃料などを手に入れて、火柱を作り、奴らが進入出来なくする」

「何か面白そうやけど、その分大変そうやな」と剛司。

「うん。でも、他にいい方法がないのなら、この方法しかないで」

 雅の作戦に一同は頷くように納得した。


 軽トラックがUターンするのを見た彬と妙子は愕然とする。しかし、Uターンしてから店の中に入っていくのを見て、今度は戸惑いを感じていた。

「何で、店の中に……?」

「………」

 彬も妙子も、彼らの行動の意味が分からなかった。ただ、あえて危険な場所に戻ったという事は、自分たちが見放されたわけではない事だけは分かっていた。

 一方、危険地帯に逆戻りした雅たちは、鬼神の如く暴れ回っていた。荷台に乗っていた雅・剛司・登・直也の四人は、鉄パイプをゾンビめがけて振り回していた。軽トラックを運転している光一も、進路の前にいるゾンビを容赦なくひき殺していく。こうなると、彼らは学生時代に不良と呼ばれていた血が騒ぐのかもしれない。

「どけどけどけ!」

 合い言葉のように、全員が同じ言葉を連発していた。

「雅、材木コーナーや!」

「向かってくれ、光一!」

「おう!」

 光一はスピードを落とすことなく、木材コーナーへ向う。ずらりと並んだ木材の真横に車を止めると、雅たち四人は荷台から飛び降りた。

 直也と登が、木材を荷台に積み込む作業をし、雅と剛司は、迫ってくるゾンビを退治していた。

 数分後、荷台に半分近く木材を積み込むと、彼らは次の場所へと移動した。

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