第10話 ヤル気満々
「流し台って、こんなに広かったんだ」
狭い流し台も、片付けてしまえば広く感じた。
次は1番多いだろう。ペットボトルをプラスチックのゴミ袋に、次々入れていった。あまり汚れがひどい物は燃えるゴミの袋に入れた。
片付けても片付けてもあちらこちらから、ペットボトルが溢れてくる。
「今日は何曜日だっけ?」
曜日感覚が分からなくて、いつプラスチックのゴミの日か分からないから、とりあえず、お風呂場のゴミの上に放置しておいた。
いつだったか忘れたが、ゴミを捨てようと思い、袋に入れてある物もある。が、袋が劣化し持ち上げてみると端に大きく穴が空いていて、中身がザザッと出てきた。
「あー、ダメだ、こりゃ」
袋ごと新しい燃えるゴミの袋に入れる。
この作業を繰り返した。
一旦手を休め、外のゴミ集積所に行った。
すると3袋誰かの燃えるゴミが入っていた。
「ラッキー!今日は燃えるゴミの日か」
私は部屋に戻り、集めた燃えるゴミの袋を、置けるだけ集積所に置いた。
燃えるゴミが殆どだから、次から次へとどんどん入れていく。するとベットの反対側の、天井まであったゴミがなだれ落ち、ようやくそこの部分の天井が見えた。
「天井がやっと見えたな。お久しぶりです」
独り言をブツブツ言いながら、ホイッホイッと袋にゴミを入れていった。
ゴミ袋がまたいっぱいになり、集積所に運ぶ。一体何往復しただろう。
すると中学の時に付き合った彼の写真が出てきた。写真は一緒に撮ったものもあった。
「懐かしいな…。彼、今頃どうしてるんだろ…」
(はっ!いけない!懐かしんで写真を見ていたら、時間が経って手を休めてしまった。こうなると、掃除がはかどらなくなってしまう。いかんいかん!)
危うく魔の手に引かれてしまうところだった。
こうして夕方まで繰り返した。すると、外はいつの間にか夕焼けになっていた。
私は久しぶりにカーテンと窓を開けた。カーテンは半分から下が変色していた。
「ああ、働いたな…。手書きで文章書くよりしんどい…」
私は振り返り、汚部屋を見渡す。夕日が反射して、ゴミの山を照らしていた。
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