ぐちゃぐちゃ

大舞 神

第1話 ぐちゃぐちゃ

なんだこれは? 悪夢か? 悪夢にしても質が悪いぞ。


「イツキ……君?」


「吉川……」


イケメンだ。

今目の前に、困惑した俺がいる。


「なんで、どうして?」


やたら女々しくうろたえ今にも泣きだしそうな顔だ。

やめろ俺の顔で、俺の姿でそんな気持ち悪いポーズをするな。


「おちつけ吉川」


「む、むむむりだよ!? なんでそんなに落ち着いてるのイツキ君!?」


慌てたところで何も変わらないからだ。

俺は一つ溜息を吐いて、冷静に考える。

とりあえず邪魔な前髪を後ろに縛る。

おそらくこの体は吉川のだろう。

前髪が長いんだよ。

胸もデカイし。


「あうあう」


俺の体であうあう言いながら顔を赤らめるな!

孤高のクール系男子のイメージが崩れるだろう!?


「っ」


蹴りでもいれてやろうと一歩近づいたが、デカイな俺。

身長は180あるし鍛えてるしな。

いや吉川の背が低いのもあるか。

……蹴りを入れるのはやめておこう。


「……原因犯人はこいつだろうな」


俺は一冊の本に目をやった。


「あっ!」


吉川も思い出したらしい。

図書委員の仕事をしていた時だ、見慣れない本があると吉川に言われて二人で本を調べてみたんだ。

そうしたら……、あれ、なにかあったんだが忘れてしまった……。

まぁ気が付けば吉川と体が入れ替わってたって話しだ。


「Disordinato……黒魔術書か? いやしかし、なんでこんなところに」


「どうしようイツキ君……」


俺は腕組みをしながら本を睨みつける。

どうして学校の図書館にこんな危険な本が?

腕に乗っかるデカパイが思考の邪魔だ。


吉川はいつもこんなモノをつけて生活していたのか?


邪魔では?

巨乳など男をたぶらかす道具でしかない。


巨乳派だったが貧乳派になりそうだ。


「あ、あの……イツキ君……そ、そんなに揉まないでほしいかな?」


頬を赤らめ体をくねらせる俺が目の前にいた。


もうダメだ。


俺の思考はぐちゃぐちゃだ。


どうすればいいんだ?


助けて、神様……。















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ぐちゃぐちゃ 大舞 神 @oomaigod

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ