第92話 清く 正しく 美しく

 今回は時事ネタを使います。

 14日、宝塚歌劇団が会見を開き、劇団員か自殺した事案について説明(釈明)を行ったニュースが報道されました。ネットでは、亡くなった劇団員に対するイジメ・パワハラを劇団が認なかったことについて炎上しているようです。


 なにも宝塚歌劇団に限ったことではありませんが、ある組織に所属する人が心理的圧迫を理由に、休んだり、辞めたり、不幸なことに亡くなったりする陰には、上司、同僚によるパワハラがある――というのが、世間の常識であるわけで、その点を認めなかった劇団の態度にネット民は厳しい視線を送っています。


 こんなこと、世間にいくらでもある話ですが、ことが華やかな芸能界、なかでも「清く、正しく、美しく」がモットーのタカラジェンヌの間で起こったことがネットの炎を煽っているのでしょう。


 あるネット記事に、わたしの考える問題の本質が端的に書かれていたので引用します。


『問題視されている厳しい上下関係や指導が、タカラジェンヌたちの洗練された美意識や神秘性につながっていることは否めません』


 これはタカラヅカ・タカラジェンヌの魅力を、彼女らが世間一般の常識の埒外にいることにこそ求める人が一定数いるということを示しています。わたしもそう思いますし、極端な言い方をすれば、非常識なまでの上下関係や規律の正しさがタカラジェンヌらしさを形作っており、ファン(の一部)はそこを愛しているのです。


 もちろん、このことで劇団員が亡くなるようなことがあってはならないのですが、をなくすとタカラヅカらしさがなくなってしまう――これまで劇団員が積み重ねてきたことを否定してしまう、また、これまでのタカラヅカを支えてくれたファンが離れてしまう――と考える劇団の会見が、その点で歯切れの悪いものとなるのは仕方がないと思いました。




 無理やり小説に繋げようというわけではないのですが、人より優れて美しいもの、心動かすものを作り上げようとすると、世間一般の常識に適うことばかりやっていてはだめなのかなあーと思いました。


 著名な作家や芸術家が常識はずれの奇人・変人というのはよくあることですし。まっとうに公務員してるわたしのような人間は、創作に当たる者としてつまらない人間なのかもなあと考えたりします。苦笑

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