第91話 「ゴジラ-1.0」―― 物語の強度

『ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)』を観てきました。


 ゴジラは知ってますよね? 1954年に公開された映画『ゴジラ』に登場したの名前です。日本における「怪獣ブーム」の火付け役となった映画、キャラクターであり、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに登録された、唯一の日本のキャラクターでもあります。


 めちゃくちゃ良かった。

「怪獣映画は見なくていいや」と思った方、だまされたと思って観てきてください。怪獣オタクのための映画じゃないです。泣ける映画になってますから。


 正直言って、映画館でゴジラ映画をみたことは一度もありませんでしたが、この映画は観に行って正解だった。以前、映画を観たときに予告編が流れたのですが――絶対に観に行こうと決めたのでした。


『ALWAYS 三丁目の夕日』、『STAND BY ME ドラえもん』の山崎貴さんの監督するゴジラを観てみたかったんですね。そんなにたくさん山崎監督の映画を観てきたわけではありませんが、山崎作品ってというイメージがあります。



 撮る作品は、最新のSFXを駆使した画面が圧倒的に迫ってくるのですが、そこで繰り広げられる物語は、どこかで見たことのある王道ストーリーが多い。『ゴジラ-1.0』でも、最新のSFXとは対照的に、物語は「ゴジラ」そのもの。


 ――逆境にある人が力を合わせて強大な敵に立ち向かう。

 ――自己犠牲をいとわず、愛する人のために戦う。

 ――絶体絶命の危機から逆転し、最終的な勝利を収める。

 ――失ったとあきらめたものを取り戻せて、めでたしめでたし。


ネタバレは嫌なので、映画の内容は書けませんが、凝ったストーリーではありません。これまで何度も使いまわされてきた脚本の焼き直しかもしれません。それでも面白かったし、何度も涙が流れたんですよ。


 どこかで見たことのあるストーリーというのは、ただありきたりというだけでなく、何度も繰り返し使われる理由があるんだ――んだと、奇をてらった物語ばかり書いてるわたしは『ゴジラ-1.0』を観ながら考えました。


 やー、いい映画だったなあ。



 

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