第88話 エレン・イェーガーの流儀

 またNHKプラスからのお話で申し訳ないのですが。

 10日までNHKプラス、『プロフェッショナル 仕事の流儀』でエレン・イェーガーのインタビューを見ることができます。


 って……。 笑


 エレン・イェーガーは、アニメ『進撃の巨人』に登場する主人公キャラの名前です。NHKの看板番組のひとつである『プロフェッショナル 仕事の流儀』が架空の存在であるアニメキャラにインタビューするという、ある種、茶番に加担していることに驚きました。NHKプラスのサムネイルに流れた画像をみたときは、「NHKあほか。どれだけ『進撃』に肩入れしとんねん」と無視しましたね。アニメ『進撃の巨人』の番宣なのは明らかでしたから。


 ただ、『進撃の巨人』自体には興味があって。大きな話題のうちに一昨年、原作漫画の連載が終了しましたよね。どんな話になったのかなと。わたしは単行本の5巻位までしか読んでないんです。アニメはまったく見てません。


 で、この『プロフェッショナル 仕事の流儀 エレン・イェーガーSP』を見たのですが……。エレンの立場が、パレスチナ自治区ガザの武装組織ハマスの戦闘員とダブって見えて仕方がありませんでした。


 序盤しか読んでいませんが、『進撃の巨人』は巨大な壁に囲まれた土地に住む人々が、調査兵団という自衛組織を作り壁の向こうからやってくる巨人と戦う――という物語ですよね。主人公、エレン・イェーガーは、巨人に母親を殺された復讐のため調査兵団の兵士に志願した少年でした。


 巨大な壁に囲まれた街・・・ガザ

 壁の向こうからやってくる巨人・・・イスラエル軍

 自衛組織「調査兵団」・・・ハマス

 エレン・イェーガー・・・ハマスの少年兵


 ハマスの少年兵が、圧倒的な兵力をもつイスラエル軍を――駆逐してやる! と憎悪している構図がまったく同じで、NHKはもちろんこれを承知のうえで『プロフェッショナル 仕事の流儀』に仕立てたんでしょうねえ。


 今回の『プロフェッショナル 仕事の流儀』は明らかな茶番でしたが、ニュースでは報じられないパレスチナ問題の一断面を、アニメキャラのインタビューという突飛な形で表現した……とみるのは、うがちすぎですかね。


 エレンはインタビューでいいます。


 ――戦い続けなきゃ 生きていけない環境にいましたから

 ――誰だって巨人に食われたくないので 巨人を殺すことに疑問なんてありませんでした

 ――でも 敵はじっさいのところ  感情のない化け物なんかじゃなくて オレたちと同じ人間でした

 ――それでも強い殺意にさらされて

 ――生命の自由が危ぶまれる状況に 変わりはなかったわけですから そんなの とうてい受け入れられず 拒んだまでです


「なかったんです 戦う以外の選択肢は なにも」

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