第86話 ミもフタもないカクヨムのしくみ

 今回書くことはわたしの(カクヨム内での)せまーい交際範囲で起こっていることから類推しているだけで、なんら裏付けとなるものがあるわけではありません。「なんとなく、そんな気がする」と藤光が思ってるんだと、そういう感じでお読みください。


● カクヨムが曲がり角に差し掛かっているように感じる。


 カクヨムから人が出て行っているように感じます。やめていく人が増えている? 数字上はどうなのか分かりませんが、わたしが好んで読む――ある程度書ける作家さんの作品が少なくなっているような気がします。わたしのヨム活動が低調で、それが理由なら気のせいだと思うのですが。。。


 確実にある理由は、コロナ禍が収束してきたこと。話題に上ることも減りましたよね。カクヨムはコロナ禍で利用者を増やしたと思います。巣ごもり需要ってやつです。コロナが収束して、カクヨム作家さんも家にこもることをやめて、外にでるようになったのでしょうか。


 あと、カクヨムというシステムがWeb作家の求めるものと離れてきたように感じます。


 2016年にカクヨムがはじまったとき、出版社であるKADOKAWAが運営するということで、Web作家の書籍デビューを後押ししてくれる小説投稿サイトが生まれたと大きな期待を集めました。


 第1回カクヨムコンのSF部門大賞を受賞した『横浜駅SF』は象徴的な作品だったのですが、この作品以降、カクヨムから出版される作品は、一部の例外をのぞいて(というか、一部の例外作品が売れなさ過ぎて)書下ろし小説の売れ筋であるラノベ作品ばかりになってしまいました。


 かつての出版社主催の小説新人賞は、受賞すると同じ出版社か何作か書くチャンスをもらえたものらしいですが、Web小説のコンテストではそんなことなくて、大賞を受賞したところで出版されるのは1作だけ、メガヒットを飛ばさない限り、次回作は来年のコンテストに応募してください――とくる。


 カクヨムコンは、KADOKAWAが書籍化して売れそうな作品や作者を物色する場です。売れそうな作品(受賞作)は売ってみて、売れなければすぐにその作品には見切りをつけて、次の作品を物色する(次のカクヨムコンを開催する)。Web小説と作家はいい面の皮――使い捨ての憂き目にあうことがほとんどです。



 売れる(PVを集める)小説が、良い小説であるとは限らないというのは、カクヨムがはじまった当初に露呈された小説投稿サイトの悪しき宿命ですが、それでもそれなりに書く技量をもった人(コンテストで入賞するような人たち)が書き続けてきました。ただ、それも限界なんじゃないでしょうか。カクヨムはそういう人たちを使い捨てにし過ぎてて、それがここ1、2年露呈されている。


 カクヨムコンのプロ作家部門がそうで、この仕組みは「プロ」の人を優遇しているようで馬鹿にしたルールだと思います。プロに原稿料を支払わず、ただで書かせた上にコンテストでふるいにかけるだなんて、そんな出版社にとってムシのいい話がありますか。


 カクヨムは、Web作家の書籍デビューを後押ししてくれる小説投稿サイトではなくて、KADOKAWAが書籍デビュー・アニメ化をちらつかせてWeb作家たちに原稿料を支払うことなく、小説の原稿を書かせるサイトなのでしょうね。



 ……ってことが、特に中堅の書き慣れてきた人にわかってきたからだと思います。

 小説が好きで、書籍デビューしたいって人には辛いサイトですよね。

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