第54話 君たちはどう生きるか――を観た

 宮崎駿監督の新作『君たちはどう生きるか』が14日に公開され、話題になっています。


 観てきました。

 家族はおいてひとりで。

 ディズニーアニメしか評価しない奥さんは置いてきて正解だったと思います(笑)


 観てきたみなさんが一様に書いているように、一回観ただけじゃ分からない部分がたくさんある映画ですが、何度みたところで、結局すべてが分かるというものではないとも思いますので、一回観ただけで感想を書きます。


(以下、ネタバレを含みますので、ネタバレを毛嫌いする人とはここでサヨナラです。バイバイ)





 Twitterで少し描きましたが、よく分からない部分はあるものの、大きな物語の流れは、物語好きの人なら、いつかどこかで出会ったことのある安心感のあるもの。


「出てきた◯◯は、どういう意味があるんだろう」

「なにかを示すメタファーなのかもしれない」


 という風に考えながら観ることもできますが、そうすることにあまり意味はないように思います。この映画はミステリではないので、謎解きが目的ではないのです。観た人が観たままに感じたままに受け入れて最後まで観るのがよいと思います。考えるのは後からじっくり考えればいい。映画館では夢中に観るのが正解だと思います。

 

 宮崎駿さんは82歳らしいですね。かなりの高齢、おじいさんです。この宮崎さんが子どもの頃に読んだ本『君たちはどう生きるか』が、この映画のタイトルになっているのですが、その意味するところはなにかというと、「親父の説教」ではないかと思うのです。


 宮崎さんは、世の中の若者に物申したいことがあって、それがこの映画のなかに描かれていると考えるのが普通じゃないでしょうか。この映画に興味を持たない人は、それが嫌なんでしょうね。


 映画のなかで、子どもの頃の宮崎さんを彷彿とさせる主人公は、いろいろあるうちにアオサギ(この映画のポスターに描かれているあの鳥です)に誘われて異世界に迷い込みます。この異世界であれやこれやあって、また現実世界へ帰ってくるというストーリーになってます。『千と千尋の神隠し』で宮崎さんが一度やった構造です。が、発信しているメッセージは違う。


 ――君たちは、君たちの現実に向き合え。


 映画の内容に詳しく触れないので要領を得ませんが、宮崎駿のメッセージじゃなかろうかと思ってます。


 で、わたしが興味深く感じるのは、こういう映画を作ったからには、宮崎さんはなかなか自分の現実に向き合えなかったんじゃないかなと感じることです。


 ――ぼくの後悔と選択をここに描いた。君たちならどうする?


 だから、タイトルは『君たちはどう生きるか』なのだろう――と想像して楽しんでいます。おもしろかったなあ。

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