第43話 事実は小説より奇なり

 今回は時事ネタです。


 ウクライナで戦っていたはずのロシアの民間軍事会社ワグネルが「反乱」を起こし、モスクワを目指して進軍した事件。反乱蜂起から24時間でワグネルは撤退し、創設者のプリゴジンは隣国ベラルーシに「亡命」したと報道されています。


 ロシアのプーチン大統領は反乱の発覚当初、「裏切りは許さない」とワグネルを非難していましたが、その後、「罪に問わない」と態度を一変、ワグネルの反乱は大きな戦闘に発展することなく終結。首謀者であるプリゴジンも罪に問われることなく国外に脱出することとなったのです。


 事実は小説よりも奇なりといいますが、まさに奇妙なことがロシアでは起こっているようです。


 そもそも「民間軍事会社」というのが、わたしの想像の埒外でした。薄々そういう組織があるのだとは知っていましたが、そういう組織は無政府状態に陥った地域で、小競り合いを続ける勢力にそれぞれ雇われ、お互いに戦っているものだと思っていたのです。


 でも、ウクライナで戦っているワグネルのような軍事会社は、ロシアという大国から援助を得て、ウクライナ軍と戦っているわけでわたしの思っていたのとだいぶ違います。って感じです。


 いったいどういう正義の下に一企業の金で雇われた兵士に、ウクライナの人たちを殺戮する権利が認められるというんでしょう? わたしは認めたくないですね。でも、事実存在するんですよね、忌々しい。


 そのワグネルが反乱? プーチンにしてみれば、飼い犬に手を噛まれたような気分でしょうが、ザマミロという思いがします。ワグネルのような組織を使う以上、想定すべき事態でした。しかも、その裏切り行為を罰する(戦闘で叩き潰す)こともできないくらいロシア政府は軍事的に余裕がないということなのでしょう。


 小説以上のことが起こっている――とわたしは感じますが、ロシア南部やウクライナの人たちにとっては、これが肌身に感じる現実なんでしょうから、いかにこの日本という国が戦争から遠い距離にあるのかということが分かりますね。





 カクヨムをはじめ、Web上の小説投稿サイトのなかには異世界に転移転生して戦う戦士が登場するものがたくさんありますが、現実の戦争のニュースに接すると、そういうものが非常に空々しく感じられます。いっそのこと異世界じゃなくて、ウクライナに転移して戦う物語にしてみては? わずかでも現実に影響をもたらすかもしれません。

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