第30話 日本ダービー

 イギリスの文豪、コナン・ドイルの描く名探偵シャーロック・ホームズに「Silver Blaze(シルバーブレイズ)」という一編があります。日本語に訳されて「白銀号事件」とか「銀星号事件」、「名馬シルバーブレイズ」といったタイトルで知られている事件です。タイトルから分かるように、シルバーブレイズという名の競走馬の周囲で、不可解な殺人事件が発生。例によってホームズが解決するという筋立ての短編です。


 シャーロック・ホームズが生まれた国、イギリスは近代競馬発祥の国でもあります。


>イギリスは近代競馬発祥の地である。

日本が戦国時代だった1539年(1540年説もある)には早くもチェスターにイギリスで初めてとなる常設の競馬場が誕生(現在のチェスター競馬場)。その後、ドンカスター、ニューマーケット、ヨークなど各地に同様の施設が造られていき、17世紀の初頭には十数か所で競馬が行われていたようだ。(JRAホームページより抜粋)


 競馬といえば、今日(5月28日)は日本ダービー開催の日ですね。この「ダービー」という言葉も、イギリスが発祥です。


>競走名のダービー(Derby)とは、1780年にイギリスで同レースを創設した、第12代ダービー卿エドワード・スミス・スタンレー氏にちなむ。現在は一般的に3歳馬の頂点を決める競走として世界各国の競馬場でダービーが行われ、わが国でも”競馬の最大の祭典”として、競馬ファン以外にもその名が広く知れ渡るレースとなっている。(JRAホームページより抜粋)


 ダービーは満年齢で3歳になる馬の頂点を決めるレースです。先週行われたオークスというレースは3歳牝馬ひんば(メス馬)にしか出場資格はありませんが、ダービーは性別に関わらず出場することができます。日本ダービーは、東京競馬場の芝2400メートルのコースで争われます。


 競馬をしない方にはピンとこないと思いますが、3歳チャンピオンを決めるダービーは、大晦日に行われる紅白歌合戦のような1年を締めくくる一大イベントです。「ダービーにはじまり、ダービーに終わる」といわれ、ダービーの翌週から、来年のダービーに向けて2歳馬のレースがはじまるからです。


 ぜんぶで18頭が出走する今年の日本ダービーでは、4月に行われたG1レース、皐月賞で優勝したソールオリエンスが一番人気となっているようです。皐月賞の勝ちっぷりが凄まじかっただけに、ダービーをどう走るか、興味深い。わたしは……武豊騎手が騎乗するファントムシーフに注目しながらレースを見てみたいです。

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