第29話 小説を根掘り葉掘り

 NHKEテレの番組に『ねほりんぱほりん』というトークバラエティがあるのを知っていますか?


>2016年からNHK Eテレで放送されているトークバラエティ番組。「人形劇×赤裸々トークショー」をコンセプトとして製作されている。モグラのぬいぐるみ、ねほりん(声・山里亮太)とぱほりん(声・YOU)が聞き手となり、ブタのぬいぐるみに扮した「訳ありゲスト」を招いて、トークを展開する。(Wikipediaより抜粋)


 わたしの場合、知ってはいましたが、「赤裸々トークショー」というコンセプトが下衆なもの(下ネタ、金を持っていること、金を持っていないこと、不幸話などを赤裸々に話すゲストが多い)に思えてならず、これまであまり見てきませんでした。


 そんな『ねほりんぱほりん』ですが、ここ数日、ポッドキャストにある『ねほりんぱほりんをねほりはほり』という番組をずっと聴いていました。ポッドキャストは音だけの番組なんですが、音だけでもかなり楽しいですね。さらに、ポッドキャストでは番組制作の裏話が聴けるのですが、これがとてもよかった。


『ねほりんぱほりん』の「訳ありゲスト」には、パンチの効いた人が選ばれています。わたしの印象に残っているのは「女子刑務所にいた人」という回。女性の元受刑者をゲストに話を聞いた回だったのですが、「これは顔出しNGだわ」と深く納得するとともに、スタッフの人たちはどうやって取材したんだろうなと不思議に思いました。NHKや番組制作会社の人たちって犯罪とは無縁でしょ。


 ポッドキャスト版では、番組スタッフ、ディレクターさんの思い出(思い入れ)が聴けるのですが、一見して下衆な番組(なんせ下ネタ、金、不幸話といった、だれもが聞きたがる……けれど表だって聞くことは憚られる話ばかりで構成された番組ですから)にも関わらず、ディレクターさんはすごく真面目で、番組制作についても一見下衆な話の向こう側に人間の本質を見ている姿勢が垣間見えて、頭いいな〜と思いました。


 あと、『ねほりんぱほりん』のような金と時間と手間がかかるような番組を作ることができるのは、NHKならではだなと感じました。裏話を聴いていると何十人も取材したり、逆にまったく取材対象をみつけられなかったり、何ヶ月もかかるそうです。また、顔出しNGのゲストに変わって「出演」するブタの人形(ねほりんぱほりんは人形劇なんです)やその衣装にも凝っているらしく、とても時間がかかる……民放なら企画段階でGOサインが出ないはずです。まったく新しい形式のバラエティで視聴率がとれるかどうか、分からないから。


 NHKの番組制作は視聴率を気にする必要はないから冒険ができる。そして、いい方向に答えが出た番組が『ねほりんぱほりん』です。視聴率=広告収入でしょ。カクヨムでいうところのリワードですよね。リワードを気にしているとカクヨム作家も冒険できないんですよね。


「どうすれば読んでもらえるか」を考えると、書く内容がせせこましくなるんですよ。小説を書くのには少なからず時間がかかるので、時間対効果(リワード)が悪くなる作品を書くのって、時間の無駄と考えてしまわないですか。ありがちな設定と展開の小説は、PVが底堅いので、これに頼りたくなりませんか。底堅い反面、読者は内容に飽き始めていて、徐々に減ってきているなんてことになってはいませんか。


『ねほりんぱほりん』のように、ありがちな番組制作に風穴を開けるような小説を書いてみたいですねえ。。。

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