第14話 映画の作り方
今日、家族と映画を観てきました。
『ドラえもん のび太と空の
感想は……小学生の息子と奥さんは楽しんだようですよ。
わたし的には、いまいちでしたねー。ドラえもんやのび太が話す感動的なセリフにどうも乗り切れないというか、「ちがうんじゃない?」「それってドラえもんなの?」って感じてしまう。
わたしが子どもの頃、夢中になって読んだ「大長編ドラえもん」――『のび太の宇宙開拓史』だとか『のび太の海底奇岩城』――で、のび太は感動的なセリフなんか口しないんですよ。そもそも『ドラえもん』は、のび太のドジを読者が笑うギャグマンガでそれがウケていたはずなのに、21世紀にはいると国民的アニメであり感動コンテンツにすりかえられてしまったのが、オールドファンとして納得いかないですね。
☆
さて、今回はドラえもんの話をしたかったのではありません。
映画を観て帰ってくると、NHKで『「ドキュメント シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~』というのをやっていて、見入ってしまいました。
『エヴァンゲリオン』シリーズや『シン・ゴジラ』で有名な映画監督・庵野秀明さんの最新作です。わたしは映画を観ていません。そもそも庵野秀明作品を意図的に避けている、わたし。庵野さんの名を高らしめたテレビシリーズ『エヴァンゲリオン』の最初の数話を見て、「これはちょっと見ていられない」と感じたのが決定的でしたかね。
庵野秀明という人は、オタクのストライクゾーンど真ん中に剛速球を投げ込んでくるクリエーターなんですよ。
どういことかというと、古いアニメになりますが『トップをねらえ!』では、巨大ロボットに体操服にブルマー姿の女子高生を搭乗させ、彼女らにスポ根ドラマを演じさせながら、おっぱいが揺れる描写も挿入してみせるわけ。
――オタク。こういういうのが好きなんでしょ。
露悪的にオタクの嗜好を白日の下に晒す作風でアニメ業界に現れたんです。当のオタクはびっくりですよ。
『新世紀エヴァンゲリオン』もそうです。エヴァンゲリオンに搭乗するときの綾波レイのコスチューム(ここでもロボットに搭乗するときの服装がポイント)に象徴的。女性の体のラインがくっきりと出るスーツは
――やっぱり、オタク。こういうのが好きなんでしょ。
と庵野さんから突きつけられている感じがします。
そりゃ、ブルマー姿の女子高生や、体のラインがくっきり出ている女性は魅力的ですよ。でも、そんなあけすけに描写しなくてもいいじゃないですか。ことさら女性のおっぱいを揺らして見せなくてもいいじゃないですか。ほんとはいいなと思っていも、あからさまにしないのが日本人としての慎みってもんです。
庵野秀明さんは、「オタク」や「アニメ」というものを振りかざして、守旧的な日本人の価値観をぶち壊した人なんですよ。革命家なんです。だから、一部の世代やオタクから熱狂的に支持されている。すごいと思います。
話がそれました。
『ドキュメント シン・仮面ライダー』の話でした。
映画を観ていませんが、『シン・仮面ライダー』。興行成績がいまいち振るわないようですね。庵野さんのこだわりが一般の観客には受け入れられなかったのかもしれません。
NHKの番組の中では、『シン・仮面ライダー』の製作現場におけるライダーのアクションシーンの撮影の舞台裏に焦点を当てたドキュメントとなっています。監督である庵野さんと、アクションシーンを担当するスタッフとの間で、ライダーのアクションに対するイメージうまく共有されずにいて、すれ違う様子が克明に捉えられています。見ててひりひりする緊張感が伝わってきました。
ざっくりいうと、庵野さんはいままでのヒーローものにないカッコよくなくてもリアルなアクションを追求した画を撮りたいのに、アクションスタッフは、従来のヒーローアクションの延長線上にある、画面に映えるアクションを提示し続けてボツをくらう、撮影現場の雰囲気が悪くなる、というのを撮ってましたね。
映画のハイライトであろう、ライダーたちの最後の戦いのシーン。これがドキュメントでもハイライトになっていて、アクションスタッフの付けたアクション(殺陣)に庵野さんが激怒して、「スタッフはさがれ。最後のアクションはスタッフ抜きで俳優たち自身で考え、演じろ」いったわけ。アクションを考えるのが仕事のアクションスタッフの面目丸つぶれですよ。険悪にもなりますって。
でもね。
そうまでしないと、映画監督というのは自分の思い通りに映画を撮るということはできないんだなと思いました。妥協せず、思い通りに創作するっていうのは素晴らしいことですが、他者を傷つけることもあるのだなと分かりました。
『シン・仮面ライダー』は、おもしろくない映画かもしれませんでも、素晴らしい映画なのだろうなと思いました。あまり好きじゃない庵野作品だけど、観てみようかな。。。
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