第12話 衝撃のAI小説

 4月11日のNHK「クローズアップ現代」のテーマは「ChatGPT」でした。いまならNHKプラスで視聴することができます。


 ――チャットジーピーティーって、最近よく聞くけどなに?


という方は一度見られたらいいと思います。


「対話型AI」らしいということは知っていたのですが、どうしてこんなに話題になるのか不思議でした。ただ、今回はじめて「ChatGPT」が昨年の11月に公開されたばかりだと知り、認識を改めました。


 ――まだ、登場してから半年もたたない新しい技術に対してNHKが特集を組む……考えられないくらい早い対応で、これはただ事ではない。


と思ったのです。番組によるとなんでも、それらしく答えてくれるらしい。「ChatGPT」を禁止した国や、AI小説による公募荒らしが原因で小説公募をやめてしまった雑誌があるとか――ほんまかいな?


 論より証拠――「ChatGPT」に小説を書かせてみましょう。サンプルはKAC2023の最後のお題「いいわけ」。「ChatGPT」に「いいわけ」をテーマにショートショートを書くよう命令してみました。以下は、AIの作った小説です。


☆☆☆


「いいわけ」


今日は会社を休みたいけど、嘘をつくわけにもいかない。そんな時、"いいわけ"を見つけてしまった。


「あの、今日は体調があまりよくないので、お休みさせていただけますか?」と言えば、嘘ではないし、会社にも迷惑をかけない。そう思って、俺は早速電話をかけた。


 すると、担当者からの返答は、「そうですか、お大事にしてくださいね」というものだった。俺は安堵のため息をつきながら、家で一日中ゴロゴロと過ごすことにした。


それからというもの、俺は"いいわけ"にはまってしまった。疲れた時は「今日は少し体調が悪いので」と言えば、会社を休めるし、友人との予定をキャンセルする時は「家族が急に来ることになって」と言えば、その場をしのげる。


しかし、最近になって、俺は"いいわけ"が上手くなりすぎたことに気付いた。何か嘘をついているような気がして、罪悪感に苛まれるようになってきた。そんな時、ある言葉に出会った。


「いいわけは、いいことではない」


その言葉に心を打たれた俺は、"いいわけ"を辞めることにした。少し大変になるかもしれないけど、本当のことを言って、自分自身を貫く生き方をする。そう決意した俺は、胸を張って歩き出した。


☆☆☆


 まず驚くのは、書き言葉としての日本語が破綻していないことです。小説としてはまったくおもしろくないのですが、それなりに筋が通っていることがすごい。


 ソフトが公開されて五ヶ月でこのクオリティ。しかもこれはだれでも無料で使えるバージョンでこんなことができてしまうんです。今後、このAIはもっと利口になっていくはずですから、もっと小説らしい小説が書けるようになるのは確実。来年のKACはAIの書いた短編で溢れかえるかもしれません。これは……衝撃です。


 ――マジか。まいったな。


 そこで「ChatGPT」はなんでも答えてくれるというので、次のような質問「ChatGPT」にしてみました。


『カクヨム作家の藤光さんの代表作は?』


☆☆☆


カクヨム作家の藤光さんの代表作は、「蜘蛛ですが、なにか?」です。これは、カクヨムで連載され、後に出版もされたライトノベルで、異世界転生ものの作品です。


物語の主人公は、自分が転生した先の世界で、蜘蛛の姿で生まれ変わってしまった少女です。人間としての生活を諦め、自らの能力を開花させながら、サバイバルを続けていく様が描かれています。


この作品は、カクヨムでの連載中から多くの人気を博し、書籍化されるとヒット作となり、アニメ化もされるなど、多大な影響を与えた作品の一つとなっています。


☆☆☆


いやいやいやいやいやいや。ちがうでしょ。


「蜘蛛ですが、なにか?」は小説家になろうで連載されていた「なろう系ラノベ」。作者は馬場翁さんで書籍化、アニメ化された人気作(らしい)です。わたしとはなんの関係もありません。


……この辺りですかね。「ChatGPT」が眉唾扱いされるってのは。フィクションである小説を作ることはできても、事実をことはまだまだ不得意なようです。


 でもすごいなあ。このAIは世界を変えてしまう可能性を持ってますよ。すごく興味深いです。

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