18話 入神目覚・その2前編

終学会が終え、俺も2年生となった。まぁ2年生になったからと言って変わったことはそこまでない。授業が少し難しくなったくらいだ。


先輩達がいなくなったことで現在の学番1位はフォイアスになった。俺は学番4位に戻った。ミカの学番はフォイアスの1個下の2位である。


俺たち同期3人組は中々の好成績を残している。

俺もあと1年もすればトップ3入りも夢じゃない。


フォイアスは特別クラスの中でも実力が他とは離れすぎて相手が居ない状態になっている。


この前、新1年の特別生がフォイアスに舐めてかかりボコボコにされていたので1年とは馴染めていないようだ。


魔法の進捗はと言うと最近やっと複合魔法の基礎を理解したところである。まぁ理解しただけで複合できる技術力がないけど……。



剣術は順調そのものだ。

やっと王流剣術中級と亜流剣術中級を習得した。

魔力をあまり使わない分習得が早いのだ。



魔法も剣術も、まだ子供のお陰か異様なスピードで習得していっている。


才能があるという訳ではない。

今までの積み重ねと人二倍分の努力が役立っているのだ。あとは特別クラスで培われた経験とかかな。


特別クラスといえば、トレイル先輩が入団した第三騎士団は王国でも実力があるものしか入れないらしい。


田舎の少女が王国お抱えの騎士に就任……。

まさに大出世という感じだな。


我が父ペヤードもその昔、第八騎士団から推薦が来ていたらしいが断り国軍に入ったみたいだ。

ペヤード曰く「国軍の方が楽だから。」だそうだ。


騎士団は城壁警備に城内警備あとは国の依頼もこなさないといけないが、

国軍は城壁警備と隣国との小競り合い処理が主な勤務内容なので結構楽らしい。


隣国のベルドー帝国は何年も前からローリア王国とお世辞でも良好とはいえない関係だ。原因はローリア王国にあるのだが……。


その昔、初代ローリア国王がこの土地を略奪した時の元々この土地に住んでいたお偉いさんの先祖が今のベルドー帝国の帝王らしい。


その恨みは凄まじく国境付近でドンパチやっているらしい。1度も城内に入られたことはないそうだ。

さすがはエルシア大陸でも一二を争う国力を有する国といったとこか。いつか王都にも行ってみたいもんだね。


冒険者ギルド本部が王都にあるので、もしかしたら数年後には王都に居るかもしれないな。

フォイアスとミカと俺で冒険者か〜。

4、5年後の事なのであんまり実感は湧かないが想像してみると高揚する。

このメンツならSランク冒険者パーティになるのも夢じゃない。俺の場違い感は否めないが……。


この世界の成人年齢は16歳なので

16歳になったら冒険者は辞め、騎士団に入団するつもりである。

別に卒業して直ぐに入っても良いのだがペヤードの進言通り卒業後は冒険者ギルドに入り経験を積むこととした。


色々と妄想して自分の世界に入っているところ、ミカに声をかけられた。


「ペルセウス、もう授業終わっちゃったよ?」

「えぇ!なんも聞いてなかった……。」


困ったように眉をひそめていると

ミカに紙切れを渡された。


「大事なところメモしといたから……。良かったら使って……。」


「ありがたく使わせてもらいます!」

ミカに感謝の意を見せようと手を合わせて拝んだ。


ミカの腕にはノートと教科書が抱えられている。ノートとは別の紙にわざわざ書き写してくれたのだろう。えぇ娘や。


「フォイアスは用事があるからって先に帰っちゃったみたいだよ。」

周りを見てみると、俺とミカ以外の生徒はほとんどいなかった。


「ミカの家ってどこら辺?」

「ペルセウスの家とは逆方向かな……。」


「そっかぁ。気をつけて帰ってね。」

「う、うん。」

クソゥ。

一緒に帰ろうと思ったのに……。

幼なじみと一緒に下校するラブコメ展開は待って居ないのか。

強引に「俺が一緒に帰るよ!」とか言えばいけるかもしれないが、そんな勇気俺にはなかった。


「じゃあ拙者はお先にドロンするでやんす。」

「ドロン?」

「……。」

「……。」


俺は少し気まずい雰囲気から逃げるように素早く帰宅した。


ズキッ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「おかえりペルセウス。」

ペヤードがお出迎えしてくれた。

「ただいま!お父さん!」

いつものイケメンスマイルで俺に微笑みかけると、脇から持ち上げられる。



「夕飯までまだかかりそうだわ〜。」

ペヤードと戯れていると台所からマリアードの声が飛んでくる。


「はーい。それまでお父さんとお話してるね。」


「私も混ぜて欲しいわ……。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

夕食が完成したので家族3人、机を囲む。

「じゃあみんな手を合わせて。いただきます。」


「いただきます……。」「いただきます。」



マリアードが

「ペルセウス?どうかしたの?」

「歯が抜けたとこがちょっと痛むんだよ。」

「大丈夫?『回復魔法』かけようか?」

「そこまでしなくてもいいよ!」



ズキッ。



さっきから頭が痛む。

隠そうとしたけどマリアードには隠せないみたいだな。母は強しだな。


この痛みはまさか、?


また神様のいる謎の空間に飛ばされるのだろうか。

急にぶっ倒れてペヤード達に心配されたくないから早めに寝床に着いた方がいいな。


食事を切り上げ

逃げるようにベッドのある2階へと上がった。

マリアードは少し心配しているようだったが無理やり笑顔を作って誤魔化した。


ズキッ、ズキッズキッ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


頭が痛い。

布団を深く被って強く握り、痛みを和らげようと試みるがあまり効果はないようだ。


痛みは増すばかり、痛みと共に眉間のシワがよっていく。


ズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッズキッ。


「ぁぁぁあ゙……。」

言葉にならない声が喉から出た。


下にいるペヤード達に聞こえないように口を抑えて必死に堪える。

絞り出された僅かな声が布団の中で反響する気がした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


見覚えのある空間だ。

日本とアルト村が半分ずつに分かれた世界。

その真ん中には黒い四角形の何か。


「すまなかったね。」

1年ぶりに聞いた神様の声は以前聞いた時よりも鮮明に聞こえた。成人男性くらいの声が箱の中から響いている。


「何がですか?」


問の答えに神様は答えなかった。

沈黙が続く。

何か考えているのだろうか?


俺は沈黙に耐えきれなくなったのでとりあえず言葉を出した。


「どうかしましたか?」


「その、なんだあれだよ。怒ってないの?」


初め言葉の意味を理解出来なかった。

一瞬戸惑ったが「あぁ魔術を与えたことか……。」と理解した。



「確かに初めは腹立てていましたけど、あの事がキッカケで変わることができたので今は気にしてませんよ。」


「そっかぁ!よかったよ!気にして損した。」


なんだろう殴りたい。

確かに気にしては無いけど許した訳じゃないからね?うん。外に出てきたら1発ぶん殴ってやる。


さっきよりも少し口調を荒らげて話を続けた。


「それよりもここに来る前の頭痛をどうにかして欲しいです。」


「多分今回で僕と君は完全に『繋がった』から次回以降は大丈夫だと思うぜ〜。今日はその連絡をしに来たんだ。」


良かった!

次からはあの痛みを受けなくても済むらしい!


「ならいいんです……。ところで繋がったとはなんですか?」


「僕と君の魂が文字通り『繋がった』のさ。」


信じようとは普通なら思わないだろう。

しかしこの箱の中に居るであろう存在は神なのだ。


俺は何故だかわからないが、ここにいる存在が神であることを疑わなかった。邪神かもしれないが。



もしかしてコイツ……

「僕の体を乗っ取るつもりですか?」


箱に冷たい目を向けた。

まるで犯罪を犯した者を見るような目で……。


「違う違う!勘違いするな。」


「じゃあどういうことですか?」


「君の魂を乗っ取るつもりはない。ただ単に外の世界を知りたいだけなんだ。その為に君と繋がる必要があったまでさ。」


本当なのか?

前世にも言葉巧みに騙されて、人生を棒に振ってしまった者を見たことがある。

前世の俺は棒を振っていたら人生が終わっていたけどね。ヘヘッ。


「見返りを求めてもいいですか?」


「いいよ。もちろん。何がいい?誰も知らないような歴史の真実か?失われた古代魔法か?女の子を落とす方法かい?」


歴史の真実も古代魔法も女の子を落とす方法も全部気になるところだが聞くのはただ1つ。


「元の世界に行って帰る方法を教えてください。」


「元の世界?」


あれ知らないの?













〜後書きなるもの

たまに自分の作品投稿した後に読むんですけど、誤字が多いこと多いこと……。


初めに比べると文章力上がった気がします(作者の思い込みです)。

結局小説書く時に1番難しいのって誰かが話し始める時なんですよね。

○○は怒りを抑えようとするがほにゃほにゃ、、、みたいなね。これができない!マジムズいんですよね。これで愚痴を終わります。

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