番外編 7歳
学校に入ってから5、6ヶ月が経過した。
最近の俺の生活は、はっきり言って順調そのものである。
学番は6位→5位に上がった。
魔法、剣術の方はこの数ヶ月の間で
・炎系魔法
・水系魔法
・風系魔法
・身体強化魔法
・
・王流剣術
これら6つを全て中級まで習得。
あとは
・氷系魔法
・雷系魔法の2つが初級だ。
この2つは色々な系統の魔法を複合しなければならない文字通り『複合魔法』なので習得が難しい。
雷系魔法上級のフォイアスはやはり化け物としか言いようがない。
それと治癒魔法は全くできない。
才能の問題なのか……、このままでは卒業するまでに全魔法中級にするのは厳しそうだ。
しかし、リシア校長も鬼ではなかった。
魔法でも剣術でもいいから上級以上になれば合格との事だ。それも厳しそうだが……。
最近は特に変わったことはない。
あの神様もあれから話してくることはない。
魔術もあれから1度も使っていない。
いや、使えない。使うのが怖いのだ。
もし、使ってしまったらこの世の全ての人が敵になってしまいそうで……。そんなことにはならないと頭の中ではわかっている。だけど心が拒否してしまう。
前世へと帰る手がかりも無し……。
順調に進んではいるが根本的な事を解決していないような気がする。
ダメだダメだ。
こんなネガティブ思考は辞めよう。
俺は変わったんだ。
ペルセウス・フリーゲンとして生きていくんだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
エルシア暦483年10月25日
今日は俺の7歳の誕生日である。
俺は家の机で学校の宿題をしていた。
5が付く日なので学校は休みだ。いい日に生まれたな……、俺。
授業で習ったことだが、この世界の日付はローリア王国から見て北にある、ヤマト大国が作ったらしい。
ヤマト、そして日付。もしかしたら俺の他にも日本人の転生者が居て、ヤマト大国を建国したのではないだろうか?
ヤマト大国は米が主食だそうだし……。
いつか行く機会があったら同郷の人に会ってみたい。建国されたのは随分前らしいからもう亡くなってるか……。
「ペルセウスまだ宿題してるの?」
台所からマリアードが顔を出し聞いてくる。
「もうほとんど終わったよ〜。」
「そう。ならご飯にするからお父さんを呼んできてくれる?」
「わかったー。」
2階のペヤードの部屋に移動する。
小さい頃は2階に上がるだけで苦労したのに、
俺も成長したな……。
「お父さん〜。ご飯だよ〜。」
扉の奥からゴソゴソと音が聞こえる。一体ナニやってたんだ……。
「い、いまから行くよ!」
扉がガチャリと開き、慌ただしい様子のペヤードが出てきた。
「お父さんナニやってたの〜?」
ニヤニヤしながらペヤードに問いかける。
「村の人に頼まれた仕事だ……。」
そういう事をしているのかと思ったらただの良い人じゃないか、誰か俺を殴ってくれ……。
「ほら2人とも早く座って!」
マリアードがいつにもなくウキウキした様子でこちらに話しかけてくる。
その言葉に従うがまま席につく。
息子の誕生日ってそんなに嬉しいのか……。俺の下の息子はうんともすんとも答えないがな。
俺にも子供ができたらわかるだろうか。
あまり考えたことはなかったが俺にもお嫁さんとか子供ができる可能性はゼロじゃないのか……。
「久しぶりに腕によりをかけて作ったわ!」
「わァあ!」「うぉぉ……。」
目の前に出されるのは豪勢な料理だ。
確か3歳の誕生日もこんな感じだったな。
サラダに七面鳥、豚肉のような何か、スープの中には、なんだこれ……。いままであまり気にしたことなかったがこの世界の食材は(生き物)形が変だ。
「ほら食べて食べて!」
「いただきます!」「いただきます。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
料理はやっぱり美味しかった。
多すぎて全部は食べきれなかったが……。
多分明日の昼ごはんになるだろう。
そして毎年恒例のプレゼントはなんと?!
「ペルセウス。これが今年のプレゼントだ!」
ペヤードの手に包まれていたのは……、白いバッテン印に少し豪華な装飾がついた物だ。真ん中には魔法陣っぽいのもあるな……。
「お守り……?」
「これはな治癒魔法が刻印されているんだ。たとえ致命傷を受けても1回だけ回復することができる。お前は何かと危なっかしいから常備しておけ!」
当然俺のこと考えて選んだに決まってるよな。
そう考えるとなぜか心の内底から温まって行く気がする。
ここは素直に喜ぼう。
「ありがとうお父さん!」
こうして7歳のお誕生日は終わった。
後書きなるもの
今回は伏線とかなんも無いただの箸休め回です。
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