15話 異世界魔法教育論ですわ(伏線作りか設定盛り回なので見なくてもいいよ。)
自分用の剣を買ってから1週間くらいが経つ。
結局。あの謎の人物の正体は分からずじまいだ。
村中に注意喚起したらしいが手がかりらしきものは1つもなかったらしい。
ペヤードから買ってもらった『聖剣エクスカリバー』のレプリカを使ってみたが、中々に良い剣だ。
やはり切れ味が違う。
聞いてみたところ
本物を忠実に再現しているらしく、
刀身にはイラリス山脈に住む、『黒竜』の鱗。
あとは現在はほとんど入手することができない
『完全鉱石』《オリハルコン》などを上手いこと調合している。
素材だけ揃っていても、
本物とは比べ物にならないくらい差があるらしい。
本物は神話級の魔具らしいしな……。
この1週間この剣で剣術をみっちり勉強してきた感想としては……。
剣術の方が才能があるわ俺……。
特出して秀でているわけではない。
ただ単に魔法の才能が無さすぎるのだ。魔法を使うには当然魔力が必要な訳だが、俺はどうゆう訳か魔力量が少ないのだ。
異世界転生の副作用なのか、そもそもこの体の魔力量が少ないのか……、謎である。
現在のフォイアスの魔力量を100とすると
現在の俺の魔力量は2とかだろう。
50倍いや、もっとある気がする。
魔力とは体の成長に合わせて増えていくものだが、たまにいるのだ。魔力の伸びが悪い人が……
無論それは俺のことだが。
神様に貰った(要らないものを押し付けられた)魔術『人に作られし者』《ホムンクルス》だって強いかもしれないが、『人に作られし者』が動く度に俺の魔力がぐんぐん吸われていくのだ。俺と相性がとてつもなく悪い。
こういうのを宝の持ち腐れだとか豚に真珠だとかいうのだ。
「さてと……。」
まだ眠たい体を起こし、学校へ行く身支度を始める。
服の袖に腕を通し、教科書の入った革製のバッグを背負って部屋のドアを開ける。
「今日はもう行くのね。お勉強頑張ってきて!」
マリアードがちょうど居たようだ。
いつも通り笑顔で送ってくれる。
「ペ、ペルセウス。」
マリアードの顔が引きつっている。
何かあったのだろうか……?
「ズボン忘れてるわよ……。」
やべぇ、普通に忘れてた。
「す、すぐ履いてきます!」
ズボンを履いて学校へと向かった 。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
学校はいつもと変わらないな……。
教壇近くで騒ぐエリン、リオンと数人の生徒。
エリンとリオンを知らない人のために説明すると
陽キャで魔法も使えて美形。
以上だ。対戦ありがとうございました。
そんな俺はというと、
1人、窓の外の風景を見て黄昏ていた。
アルト村を見ているとまさに異世界転生してきた感じがして、1人で盛り上がってしまう。
中世風の建物にロマンを感じるのだ。
この気持ちを共感してくれる人が居ないのが最近の悩みだ……。
え?なんで1人でいるかって?
しょうがないから説明してあげよう。
忘れている人もいるかもしれないが、
俺はこの学校の中で6番目に強いのだ。
その情報はすぐに広まり、みんなから慕われ女子からもモテモテ。にはならず、
「なんか下級生に強い奴がいるらしいぜ。」的なまるで昭和の不良マンガに出てきそうな台詞を言われているみたいだ。
そんな事を言われている奴がクラスメイトと仲良くするのは難しい。
仲が悪い訳では無い。普通に話すし話しかけてくれるが、明らかに他の生徒と壁があるのだ。
前はカースト上位になれると思ってたのに……。
特別生はカーストには入ってない。
前世の俺みたくカースト底辺とかではない。
特別生だけ異様な存在なのだ。
だから俺は1人ということです。
これで十分かい……?
特別生と一般生には明確な差がある。
俺は飛び抜けて強いわけではないが、この歳にしては結構強い方だと自負している。
本当に飛び抜けて強いのは現学番1位のトレイル先輩とか、現学番2位のフォイアスのことをいうのだ。
あそこら辺の人は人じゃない。まさに化け物だ。
あの二人は現段階で既に上級か英雄級の実力は持ってそうだ。
それにこれからの伸び代を考えると……、うぅおぞましい。まさに特別の中の特別な存在。
「1人で何してるの?」
ミカが話しかけてきた。いや話しかけてくれた。
ミカも特別生なので皆と少し壁がある。
だからか知らないが最近よく話すようになった。
俺、フォイアス、ミカの、3トリオで話すことが多い。話すようになってわかったことだが、
ミカは、このローリア王国モレナ領領主の娘であるそうだ。過去の俺の推理は合っていた。
さすがは俺も江戸川コ○ン君と同じ、体は子供頭脳は大人の名探偵なだけはあるぜ……。
ミカがこの学校にきた理由は詳しくは言えないらしいが、理由の一つとしてリシア校長の存在があるみたいだ。
さすがは元騎士団八席の1人だ。
「何をしているかだって?……。1人だから何もすることがないんだ。」
「わ、私がいるから1人じゃないよ!」
緊張しているのか、少し震えている。
ちょっとコミュ障ぽいとこがあるから、
話すのに緊張しているのだろう。多分。
その可愛いらしい表情からは思いつきもしない、怪力。そしてペヤードに認められるほどの剣の実力。
ミカは剛力少女だ。言い方が悪かったかもしれないが、本当に凄まじい力を持っている。
「ミカは優しいね……。」
そう言われるとミカは首を横に振る。
首と連動して綺麗なツインテールも横に広がる。
「私、なんて力ばかりで勉強も全然できないし魔法とか剣術の訓練も続かないから……。」
「そんなことないよ。」と言うよりも早く、ミカの言葉に阻まれた。
「そ、それに比べてペルセウスの魔法は無駄が少なくて頭もいいし。それにカッコイイ……。」
「うへへぇ。カッコイイかな?」
俺はヌメッとした笑みを顔に貼り付け答える。
フヒュッ……。俺ってそんなにカッコイイかな?
いかんいかん、変な笑い声が出てしまった。
「カッコイイと思うよ!」
自分が思ったよりも大きな声が出してしまい、周りをキョロキョロしてたじろんでいる。
これはコミュ障あるあるなのだが……。
少し大きい声を出そうとすると、日頃大きな声を出さないせいで声の強弱がわからなくなってしまうのだ。
全く。コミュ障ってのは辛いよ……。
3人の中で俺とミカはコミュ障の傾向にあり2人だけではあまり会話が続かない。いつもはフォイアスのお陰で話が順調に進んでいるが……。
そろそろ授業が始まると言うのにフォイアスを見ていないな。
「ねぇミカ。フォイはまだ来てないの?」
「フォイアスならあそこだよ。」
俺が指先の方向を見るとそこには人集りができていた。十数人の女子の中心には、なにやら困惑しているフォイアスが居た。
女の子達のマシンガントークはどんどん加速していき、もうすぐ授業が始まるというのにお構い無しのようだ。
フォイアスは女の子達を振り払い、少し涙目になりながら俺たちの方へ向かってくる。
「散々な目に会った……。」
誰が見ても美形だと答える、その顔は生気が薄れているように見える。
フォイアスは特別生だが、持ち前のカリスマ性とその御尊顔で女子生徒の心を射止めている。
最近は特に絡まれるそうで、ウンザリしているのだとか。
話しかけようとすると、女の子に絡まれているフォイアスをよく見かける。
「2人とも早くしないと授業始まるよ。」
ミカに言われ、俺たちは長机に並んで座った。
前にはバレルといつぞやの亜人の少年もいるではないか。この2人も最近仲が良いらしい。
たしか、ミカにぶっ飛ばされたバレルを亜人の少年が励ましてから距離が縮まったそうだ。
ガラガラと教室の扉が開く。
その音で生徒が静まり、席につく。
今日は担任の先生のようだ。
リシア校長は実践訓練か魔法関係の授業しか来ないからな……。ペヤードやマリアードと同じく魔法オタクなのだろう。
「今日は魔法と歴史の関係性についてです……。」
教科書とチョークを教壇の引き出しから取り出し
黒板になにやら書き始めた。
そこには歴史の人物の名前が書かれていた。
「魔法とは聖魔大戦で魔神王ソロモンが聖神王に対抗するために生み出した技です。」
先生は淡々と話していく。
「それまでは体内の魔力を操作する、身体強化魔法しかありませんでした。しかし魔神王ソロモンが体内の魔力を体外に放出することを発見したことが魔法の基になったと言われています。」
黒板に追加で、人体と魔力の流れの図が書かれていく。教科書に載ってるから別に書かなくても良いだろうに……。
また魔神王ソロモンか。
確かこの世界で最も強い生物だったか?
最強の生物……。いいねぇ厨二心がくすぐられる。
この世界って魔法に頼りきってるから、もし魔神王ソロモンが居なかったら今頃この世界滅んでたかもしれないな。
魔神王ソロモンも生まれ方が違っていたら大英雄になれただろうに……。
なぜ聖魔大戦なんて起こしてしまったのだろう?
教科書をパラパラとめくってみるが、それらしきページはない。
「……フォイアス。」
授業中なので少し小声で話しかける。
「……なーに?」
「なんでソロモンは聖魔大戦起こしたのか知ってる?」
フォイアスは首を振って「分からない。」とジェスチャーで伝えてくる。
「それはね、ソロモンがダビデ様を裏切ったんだよ。」ミカが横から自慢げに話す。
「裏切った……、どうして?」
「そこまでは伝えられてないけど……、ソロモンはダビデ様と今も敵対していることは確定してる。」
さすがはモレナ領領主のご息女様だな。
普通は知りえない情報を持っているのだろう。
整理すると、元々ソロモンとダビデは仲間だったという解釈でよろしいのだろうか?
喧嘩でもしちゃったのかもしれないな……。
それとも職場トラブルとか。
神様も裏切りとかするものなのか……。
俺に魔術を与えた、あの神様もこの戦争に関与していたのだろうか。今度会えたら聞いてみよう。
黒板の文字が増えている。
なになに……。詠唱と無詠唱について。だと?!
「少し前までは詠唱魔術が流通していましたが、ある魔法師の活躍により大幅な短縮が可能となりました。なので皆さんは魔法名を唱えるだけで発動することができるでしょう?」
この世界には詠唱が無いものだと思っていたが、そうかもう無くなっていたのか……。
俺も厨二臭い詠唱を読むのはさすがにごめんだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後は先生のどうでもいい雑談になった。
妻が最近冷たいとか
娘の婚約者が気に入らんだとか
6、7歳の子供達に何を話しているのやら……。
〜あとがきなるもの
いやー、書くのキツくなってきましたわ。
大まかなストーリーは決まってるんですけど、どの話にどの伏線持ってくるとか、設定の後付けとか色々しないといけないのでキツい。
だから今回の話途中で切り上げてます。ごめんちょ
でも最終章に伏線回収するのがめっちゃ楽しみなんで、それを励みに頑張るよ俺……。
ちょっと設定の説明〜。
武具と魔具の違い。
武具はなんの力も持たない普通の武器のこと。
どれだけ鋭くても武具は武具です。
魔具は異常な力を持ち、魔具によっては所有者を蝕むこともあります。あとは魔具自体に魔術が備わってたりもするかも……。
フォイアス君が持ってる『聖剣エクスカリバー』のレプリカは武具です。
本物の『聖剣エクスカリバー』は魔具です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます