8話 異世界魔法教育論2。1時間目

昨日は色々とあったな……。人を殺しかけたり、

校長先生が家まで来たり、あとはペヤードがめっちゃ凄い人だったくらいかな。

今日からやっと授業だ。本当は昨日からだったけど受けれなかったからな〜。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「じゃあお母さん、お父さん行ってきます!」

「気をつけてね〜」

「は〜い。」

今日はフォイアスと登校しようと思う。なのでいつもよりも早く家を出た。ちょっと遠回りになってしまうが、昨日のことも聞きたいし……。


俺はフォイの家の戸を叩いた。やっぱり村長の家だけあってデカイな〜。

扉の奥から「はーい」という声が聞こえた。


「あら、ペルセウス君おはよう。今フォイを呼んでくるわ。」彼女はペルセウスの母親だ。ずば抜けて美人という訳では無いが、独特の気品を持ち合わせ魅了される。


フォイアスが出てきた。まだ寝癖がついている。どうやら朝に弱いようだ。

「今日は一緒に学校行こうと思ってさ。」

「わかった。支度してくる!」

10分くらい待った。


「お待たせ〜待った?」

「いや今来たとこだよ〜」


ここだけ聞けば彼氏と彼女の会話だろう。だが前世のネタは通用しない。悲しくなるな〜。


フォイアスは少し困惑しながらも「行こうか」と言って歩き出した。俺もそれについて行く。


昨日のことを聞いてみた。

「フォイはあの後どうだった?」

「なんか俺たち、特別クラス?に入るらしいよ。」

「らしいね。」

「月に一度の実践訓練か。」

「フォイならみんな一瞬で倒せちゃうんじゃない?」


フォイアスは「さすがに〜」とか謙遜しているが彼の実力はそこら辺のチンピラが大勢かかってきても勝てるくらいには強い。異常だ。


こういう奴がラノベの主人公やってるんだろうな〜。


フォイアスが何か思い出したかのように呟いた。

「校長先生が僕の魔術には神が宿ってる。って言ってたよ。」

「神って絵本の中だけの存在じゃないの?!」

「分からないけど〜校長先生が言うなら、居るんじゃないかな?」


神とはこれまた凄い。絵本では確か『72の魔神と13の神』というタイトルの本があったはずだ。


何千年か前に魔族率いる「魔神」とそれ以外を率いる「聖神」が争い「魔神」側の敗北で終わる。的な本の内容だった。


「俺も早く魔術定着しないかな〜。」


「焦らず待ってればその内くるよ!」


「そうだね。今は魔法に集中しよう。」


「フォイも罰則受けたでしょ?」


「10歳になるまでに習う魔法を全部中級までできるようになるだよね。」


「俺努力しないと、あと4年もあるんだ。一緒に頑張ろうなフォイ!」


「うん!」

ちょうど学校に着いたみたいだ。特別クラスだからといって、教室は昨日と変わらないのだ。なんか緊張するな……。俺たちは教室の前に立ち、1度深呼吸してから扉を開けた。


「あっ昨日の奴ら……」

教室がザワザワし始めた。すると1人の少年がこちらへと近づいてくる。彼はイジメられていた獣族の子だ。昨日のお礼だろう……。


「あの昨日は助けてくれてありがとう。僕はバレル・ケモナーって言うんだ。良かったら友達になってよ。」

「僕は助けてないよ。結果的には君が頑張ったから和解できたんだ。」


彼は和解の意味を理解できてないようだ。しょうがない6歳なのだ。俺とフォイアスが異常なのだ。


「えっと、よくわかんないけどお友達になってくれるってことでいい?」

「それはもちろん。俺だけじゃなくてこっちにいるフォイアスも一緒に。」


バレル君は目をキラめかせた。確かに友達できるのは嬉しい。俺もフォイアスと友達になった時こんな感じだったな〜。


「これからよろしく。」

こうして新しくバレル・ケモナーと友達になった。


教室に誰か入ってきた。

「皆さんお席に着いてください。」

この声は聞き覚えがある。昨日家に来てたからな。

「今日は校長である私が授業をします。」


生徒の歓声が上がる。そんなにすごいものだろうか?校長って。


「では授業を始めますよ〜。フォイアス・アルト・ガントレット君。号令をお願いします。」


フォイアスは急に呼ばれたのでビクッとして立ち上がる。立ち方にも気品がある。さすが村長の息子。


「起立、礼。」

生徒全員でお願いしますと言った後に座る。日本とほとんど変わらないみたいだ。


リシア校長は黒板に何か書いてるようだ。

「では次〜、ペルセウス・フリーゲン君これを読んでください。」

俺も急に呼ばれたのでビクッとしながらも立ち上がる。おい笑ってんじゃねえフォイアス……。


「えっと〜魔法と魔術の違い。」

「そうです。今日は魔法と魔術の違いを勉強します。」

そんなの3歳の頃に親から教わりましたよ〜先生。

こんな感じで横槍入れたいが、無言で魔法飛ばしてきそうなのでやめとく。


「魔法と魔術何が違うかわかる者は挙手してください。」一応優等生を目指しているのでここはチャンスだな。

俺はピンッと手を挙げた。

「ペルセウス・フリーゲン君どうぞ。」

「魔法とは体内の魔力を使い、火や水に変化させることを言います。魔術とは人によって違うその人固有の魔法です。魔法は後天的にも習得できますが魔術は生まれた時からほとんど決まっています。」


「素晴らしいです!とても6歳とは思えない説明でした。皆さん彼に拍手を……。」

俺は拍手の音に包まれた。


前世の俺だったらできてなかっただろうな……。

褒めてくれるのは親だけだったし。前世の学校は嫌いだったけど、今は好きになれそうだ。物事は大体上手くいってたら楽しいものである。


「魔法には階級があります。下から初級、中級、上級、英雄級、伝説級、神話級。これは剣術でも同じです。」

俺は下から2つ目の中級を習得すればいいわけだ。あんまり難しい様には感じないな……。


後ろの方から質問が飛んでくる。


「先生は何級くらいなんですか〜?」

「私は上から2つ目、伝説級の魔法使いですよ。すごいでしょう?」

「本気出したら世界滅亡しちゃう!?」

「フフッ。そこまでは強くはありません。頑張ってもこの村5個分くらいを吹き飛ばせるくらいですかね。」


いやいや、十分すぎるだろ……。次元が違いすぎる。俺が本気を出してもせいぜい民家1個破壊できる、できないくらい……。きっと魔力量も桁違いなのだろう。


「普通、初級を会得するのに1ヶ月。中級を会得するのに半年。上級は最低で1年。長くて10年。英雄級はほとんどの人間が扱えません。さらに伝説級ともなると、使えるのは国中探しても僅かしか居ないでしょう。」


中級を会得するのに半年だと……。この体に魔法の才能がどれだけあるかわからないが、訓練すれば誰でも習得できるらしいから今日からでも始めれば間に合う、はず……。


「神話級なんて使える人が存在するのですか?」

俺は興味本位で聞いてみた。


「使える者はこの世にもう居ないかもしれませんね……。もし使用したとしたらこの領地くらい簡単に吹き飛びます。」


領土が吹き飛ぶってまじか?!

そんな魔法を使うやつが存在してしまうのか……。

フォイアス辺りなら習得できるのかな?


「魔法の話はこれくらいにします。次は魔術です。この中で既に魔術が定着している者は挙手してください。結構居ますね……。大体半分くらいでしょうか。」


この教室には30人くらい居てその半分だから15人くらいだな。

そんなに使える奴らがいるんだな……


「魔術には様々な種類があり、稀に神の名を冠する事もあります。その者たちは類まれなる才と力を持ち、もしかしたら神話級魔法も使えるかもしれませんね。力はを滅ぼすとも言うので充分注意した方が良いでしょう。」


これはフォイアスの事を言ってるのだろう。

確かにフォイアスは凄い。

魔術抜きで見ても、元々の魔力量。超人じみた魔力の操作。そして剣術までできるらしい。

そりゃ将来有望だろうよ……。


「魔術は遺伝することもあります。私の魔術『夢幻想』《ドリーム》も親から遺伝しました。」


ということは俺にはペヤードの『製作者』とかが遺伝するかもって訳だ。


「皆さん、魔術と魔法の違いはわかりましたね?今回はこれで終わりです。次の時間は実践をします。大広場へと出ておいてください。では、号令をバレル・ケモナー君。」


「は、はい!起立、礼。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


こうして初授業を終えた。

リシア校長の授業は分かりやすくて助かる。

しかし中級魔法がそんなに難しいとは……まだまだ先は長いな。


さて、次の授業の準備でもするかな。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



〜後書きなるもの

魔法と剣術どっちが強いか疑問だと思うので答えましょう。

魔法の方が汎用性は高いですが、発動するまでに時間がかかる。

剣術は汎用性はあまりないですが、剣さえあればいつでも振れる。

遠距離なら魔法。

近距離なら剣術。

ですね!


評価してくれたら作者(俺が世界)が死ぬほど喜びます。

ys1289さん反応ありがとう!

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