幼少期編《学校》

6話 暴走

フォイアスと友達になり、だいたい2年が経った。

フォイアスも俺も共に6歳となる。


まだ魔術は定着していない……。だがこの2年間、フォイアスやペヤードと一緒に魔法を習ってきた。それなりに強くなったとおもう。


しかし回復魔法はまだ習得していない。

魔力の使い方が難しいのだ。回復魔法を使えるマリアードはスゴい人なのだ。我が母として誇らしい。


さて、察しの良い人なら分かると思うが6歳になると学校に行き始める。


30代男児が学校へ行くのだ……。

今は子供の体だから何も言われないけど。


学校へ行くのはそれなりに楽しみだ。新しい友達が欲しいとか女の子と関わりたい気持ちもあるが……。


1番は元の世界に戻る手掛かりを見つけられるかもしれないということ。6年間俺なりに探してみたが手がかりは1つもなかった。

転移魔法とかあればいいのだがこの世界にはないみたいだ。


あぁそうだペルセウス本来の意識が出てくることは1度もなかった。これからも出てこないのでは?と思うが……。もし出てくることがあるなら、大人しくこの体を返すつもりだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ペル、今日は始学会だ。胸を張って参加してて来るんだぞ。」

「はい!父さん!頑張って来ます。」

始学会は前世で言う入学式みたいなものだ。

「お父さんとお母さんは後で行くから会場で待ってるんだぞ。」

「早く来てね……。」俺は心配そうな顔で両親の顔を見つめる。


ペヤードとマリアードは「うちの子可愛い〜!」と言いながら俺の頭をなでなでしている。知ってるかい、そいつの中身30代越えたおっさんだぜ。


俺は幼児プレイの才能があるかもしれないと最近本気で思う。他の才能と交換して欲しいな…。


「行ってきます!」

「行ってらっしゃい。」


俺は外へ出て、1度深呼吸をした。周りを見渡す。家のすぐ近くに学校がある。あそこが今日から入学する場所……。モレナ第4教育学校という。

俺は1歩踏み出し、そして、歩き始めた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


学校に着いた。外装はゴシック風でなかなか綺麗だと思う。会場は学校の中にある。急ごう。


「ペルセウス〜!」

声の方向から出てきたのはフォイアスだった。彼は急ぎ俺の元まで来るとお腹に手を当て息を整えていた。魔術使えばいいのに……。


「おはようフォイ。」

「うん。せっかくだから会場まで一緒に行こう。」

「もちろん!」


会場に着くと既に何人かの子供が席に着いていた。

種族はバラバラ。


前に座っている男の子は猫のような耳がついてるから獣族だろう。その後ろにいるのはなんだろうドワーフ族かな?そして1番後ろの席にいるのはエルフ族の女の子だろう。


多分あのエルフの子は見たことある。フォイアスと初めてあった日、広場にいた子だろう。


俺たちは誰も居ない真ん中ら辺の席に座った。

てかここは教室だろうか、木製の長〜い机が4つ。椅子は30個程度。前には黒板らしきものと教壇?もある。


30分ほど経っただろうか……。教室には子供とその親が集まっていた。フォイアスの両親や、もちろんペヤード達もいる。


コツコツという音が鳴る。廊下側から聞こえるな……。その音は教室にどんどん近づいてくるのが分かる。教室のドアがガラッと開き、そこからは初老を過ぎたくらいのおばさんが出てきた。


おばさんは教壇前に立つ。みんなの視線がそこに注目する。さっきまでザワザワとしていた空気が一気に静まる。彼女にはそれほど威圧感があるのだ。


「皆様おはようございます〜。」

彼女はニコッと笑い、さっきまでの威圧感は嘘のようになくなった。


「え〜本日はお集まりいただきありがとうございます。私はリシア・バークハウゼン。この学校の校長です。皆様はこれから6年間ここで歴史や魔法、剣術の勉強をします。成績が優秀な生徒さんは国軍や騎士団からスカウトが来ることもあるので精一杯頑張ってください!」


今考えてみたら、剣術は習ったことないな……。ペヤードは毎日素振りや型をしているが教わったことはない。というよりも教わろうとしていなかった。


だって剣よりも魔法の方が強いイメージがあるからな。


それからも彼女の話は続いた。前世でもそうだが、学校のお偉いさん達は長話しないと気が済まない病気にでもかかっているのだろうか?


結局終わるのに1時間くらいかかった。その間にお漏らしした子がいたな。俺じゃないぞ、俺の前に座っていた獣族の男の子が漏らしてしまったのだ。


全くそこにマーキングするじゃありません。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


フォイアスとその親と別れを告げ。

俺たち家族は家へと帰った。


「明日から学校だけど何かあったら直ぐにお父さんに言うんだぞ。」


「了解しました!」

さすがにイジメとかはされないと思うけど、もしされたら前世のトラウマでまた引きこもってしまう気がする。気をつけておこう。



1日後〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


今日からモレナ第4教育学校が正式スタートだ。

マリアードに行ってきますと言い学校へと向かう。途中何人か生徒を見かけたが上級生だろうか…。


6年か〜長いな〜。日本も小学校は6年間だったし同じようなものか……。そんなことを考えていると学校に着いた。まぁ家から歩いて5分くらいだし。


教室は昨日、始学会をしたとこだ。フォイアスはまだ来ていないようだな。


「あっコイツなんか臭いぞ〜!」

そんな声が聞こえてくる。

「やめてよ、我慢できなかったんだ……。」

「もっかい漏らせよもっかい!」

「うっ、……うっひぐっ」

「なんだお前泣いてんのか〜?」


何となく事情を察した。多分昨日、椅子にマーキングした獣族の子がイジメられているのだろう。

入学早々これは流石に可哀想だ。


俺も前世では高校に入った途端虐められたっけ。

なんか獣族の少年が昔の俺の姿とダブルな……。

しょうがない助けよう。


俺はみんなから認められたいんだ。ならそのために必要な行動をしよう。今はイジメられているあの可哀想な少年を助けるのだ。


立ち上がり、その子の前まで近づいた。どうやらイジメてた奴は多分亜人だな……。目がめっちゃ黒い。あるか分からないが魔眼とか?とりあえず怖いです。


亜人って言うのは外見とかほとんど人間だけど人間にはないような性質を持ってる種族のことです。

By作者。



「おい、そこのお前。」

「あっ?誰だ?」

「そういうのは良くない今すぐやめろ。」

「ヒーロー気取りか?お前も見たよな昨日のコイツ。ププッ、思い出しただけで笑える。」


むかつく奴だな。『火球』《ファイアボール》でもぶちかましてやりたい。


「お前だってオシッコくらい最近まで漏らしてただろ?それと何が違うんだよ。」

「悪いけど俺は3歳の頃にはお漏らし卒業してるんだわ。」

「3歳ってお前いま6歳だろ?最近まで漏らしてたってことじゃないか。ププッ、笑えるな〜。」

「ムカつく野郎だな。痛い目見してやるぞ?いいのか?」

周りの生徒たちがなんだなんだとこちらを見る。

見る暇あったら加勢してくれや坊ちゃんたち……。


「悪いけど僕は、君がやっとお漏らし卒業した頃からずっと魔法の訓練をしているんだ。君じゃあ僕には勝てないよ。」


「嘘つきは泥棒の始まりって知ってるか〜。そんな奴いるわけないだろ。」

そいつはクスクスと笑い俺の胸ぐらを掴む。


「暴力か?」

「一生学校に来れなくさせてやるぜ。」

「やれるもんならやってみな。」

「あんまし使いたくなかったが、『硬直の目』!」


え、あまずい体が動かない。『硬直の目』だと?普通に反則だろうがそんなの。えと、こういうのはどうやって解除するんだろ……。


ゴンッと頭の中でなった気がした。

「え、何があっ?」

簡単だ。殴られたのだ。魔法の訓練してきたけど実践じゃ役に立たないかもな…。

「全然弱いじゃねぇか〜!」


馬乗りになって、2発目3発目4発目を貰う。種族の差だろうか?パンチの威力が人間よりも全然強い。


「やめてよ!その人は関係ないじゃん!」

「うるせぇ!お前は黙っとけ。」

そう叫んだのは俺が『助けようとした』獣族の男の子だ。


情けないな、結局助けられず事態を悪化させただけだ……。人はそうすぐには変われないのかな。それとも同い年の子よりも少し魔法が使えるからと調子に乗っていたのか……。


一矢報いてやりたい。俺は手に魔力を込めた。

毎日練習してきた俺が1番初めに覚えた魔法?

そう『魔力弾』だ。


俺に馬乗りになっているクソ野郎に照準を合わせ、イメージを込める。魔法の基本はイメージだ。

ダメだイライラする。制限できないかもな……。


「こんなクソ野郎死んだ方がいい。」

殺してやる。そんなイメージを『魔力弾』に込めた。

「お、おいなんだよ、その玉みたいなやつ……。」

クソ野郎は立ち上がり逃げようとするが腰が抜けて立ち上がれない。


「なぁクソ野郎。死ねよ。」

俺は『魔力弾』を解き放った。初めてのやつより何倍も大きく早い。当たれば死ぬかもしれないな。ハハッ。


教室中にいる生徒が困惑の表情をしている。まさか本当に魔法を使うなんて誰も思っていなかったみたいだ。


『魔力弾』が当たるその瞬間。どこかへ消し飛んでしまった。

「ペルセウス落ち着くんだ。いつものお前らしくないじゃないか…。」

そこにはフォイアスがいた。彼の魔術『時を翔ける者』《ヘリオス》でここまで来たのだろう。心做しか怒っているようにみえる。


「あぁそうだね。」


正気に返った。以前の俺はこんなに怒りっぽかっただろうか。前世だって誰かと喧嘩したのは兄弟とDSの取り合いした時くらいだ。


「ごごごご、ごめ、なさい。もうしませんから、許してください。」

「いいよもう。それにお前が謝るのは俺じゃないだろう?」

亜人の少年は足を震わせながら土下座していた。

「ごめん。」

「君も僕とお揃いだね。」

亜人の少年はお漏らししていたのだ。恥ずかしさからかみるみるうちに顔が赤くなっていく。


「すまなかった。面白いと思って……その、」

「もういいよ。許すよ。これからは仲良くしてくれると嬉しいかな。」

「そう、するよ。」


とりあえず解決だな。フォイアスがいなかったら俺は人殺しになってた。フォイアス様様だまったく。


あれ、フォイアスはどこだ?なんで亜人の少年の前に立ってるんだ?

「おいクソ亜人。次ペルに今日みたいなことしてみろ……殺してやるからな?」

「あ、ああぁ」

教室が静まり返る。

この威圧感は始学会の女の人に似てるな。


フォイアスはこんなに怖い人だっただろうか…。

6歳には見えないほどスゴい威圧感だった。


さっき怒って見えたのは俺に対する怒りじゃなくて、亜人の男の子に対する怒りだったのか。


その後亜人の少年は早退。

俺とフォイアスも一旦家へと返されましたとさ。







〜後書きなるもの

今回長くてごめんなさい!夢中になって気づいたら4000超えてました。


フォイアスは『時を翔ける者』で自分を加速し『魔力弾』のスピードを越えたため、間に合ったんですね〜。

あぁそう。新しい小説あるんですけど、投稿した方がいいですか?反応くれたら助かります。


次回は「(仮)反省会」さ〜て来週もサービスサービスゥ


追記、国軍と騎士団の違いは、国軍はローリア王国の外部で戦う感じで、騎士団は内部を守る感じすね。

故にローリア王国は城下街より奥に1度も責められたことの無いエルシア大陸でも最強の国の1つでございやす!

それとペヤードの職業は国軍ね。


追記の追記、学校編まったく人気なくて草

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