5話 フォイアス・アルト・ガントレットのコミエンソ
エルシア暦476年、9月4日。
ローリア王国、モレナ領に位置するアルト村で
その子は誕生した。
名をフォイアス・アルト・ガントレットと言う。
アルト村、村長初の男児であり、その子が生まれた時は村がお祭り状態だったという。
そのお祭り状態がやっと落ち着いてきた頃に発覚したことがある。
彼には魔力がなかったのである。一切も。
彼の父親はアレス教の神父に自分の子を見せた。
神父は言った。
「この子供には悪魔が宿っている。即刻に処分した方が良いでしょう……。」
父親は猛反対した。自分の愛しい息子を悪魔と呼ばれた上、殺せと言ったのだ。父親は神父の忠告を無視して村へと帰った。
噂は直ぐに村全体に広がった。村人は不満を呟き暗殺しようとしてくる者もいた。
そこで子の父親はある1人の男を雇うことにした。
その男の名はペヤード・フリーゲン。
ペヤードは村長の昔からの友人である。ペヤードは華奢でただの好青年にしか見えないが……。
彼はローリア王国国軍の中でも指折りの軍人であり魔法や魔術の達人でもある。
ペヤードのお陰でフォイアスは生きていると言っても過言ではないだろう。村長は彼に感謝してもしきれなかった。2年の雇用期間が終わった。
村長は多額の報酬を渡そうと思ったがペヤードは
「お前の息子の笑顔が見れたからそれでよし。」
と言い、元の報酬の半分も貰い受けなかった。
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それから1年がたった。フォイアス・アルト・ガントレットに魔力が宿ったのだ。それも普通の子の数倍はあると思われる。
そして同時期に魔術も定着したのだ。魔術の名は『時を翔ける者』《ヘリオス》は神の名を冠する。
エルシア大陸には13の偉大な神とその系譜の神がどこかにいると言われている。そのような伝説があるのだ。
フォイアスの『時を翔ける者』は13神の系譜の神の名前である。
父親はこれを知らされた時とても嬉しそうにしていたという。
フォイアスは異常であった。彼を愛する父から見ても異常であった。
彼は誰に言われたわけでもなく、3歳を過ぎた頃から魔法、魔術、剣術の訓練をしていた。
まるでその事を待ち望んでいたかのように……。
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フォイアスに初めての友達ができたらしい。
しかもその子はペヤードの息子ペルセウスなのだ。
父親はフォイアスに
「ペルセウス君はどんな子なんだい?」と優しく問いかけるがフォイアスは
「別に、普通なんじゃないですか。」と素っ気ない態度しか取らないのである。
父親は嘆き悲しんだ。膝から崩れ落ちた。あんなに苦労して守り抜いた息子が自分に素っ気ないからである。嫌われてるかもしれないと結構ガチで悩んでるらしい。
〜後書きなるもの
どうも作者の俺が世界です。はじめに……文章少なくて申し訳ない。
今回のサブタイトルにあるコミエンソとはスペイン語で始まりとかスタート的な意味です。重要キャラが出てきた時にはコミエンソ回やると思います。
個人的にペヤードがいい奴すぎて書いてる途中、心がジワってなったわ。
次回『(仮)初めての学校』この次もサービスサービスゥ!
ブックマークと評価してくれたら泣いて喜びます。
追記〜神だけじゃなくて、偉人の名前とか大罪系の名前を冠する、魔術も作者の気が変わらなければ出てきます。
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