3話 異世界魔法教育論
※(主人公の性格が変わっていますが後々伏線回収するから気にせんといて。By作者)
昨日は親の意外な一面を見てしまった。
多分俺の両親は魔法オタクなのだ。
そして今日から魔法を習うことになったが……。
大丈夫だろうか、いきなり変なポーションとか飲まされやしないだろうか……。少し心配である。
「さぁペルセウス!今から修行の時間だぞ〜。」
「は、は〜いお父さん。すぐ行きま〜す。」
楽しみだけど不安だよほんとに、詠唱とか小っ恥ずかしいから無詠唱で頼みたいな。
「ついておいでペル。」
父の後を追う。
いつからペル呼びになったんですか?お父さん…。
そして俺たちは裏庭に出た。
「じゃあ始めるよ。」
「はい!お父さん!」
「まずは魔法とは何か説明をしよう。」
そうそう!こういうのを期待してたんだお父さん!
とりあえずマトモそうで良かった。
「魔法を使うには体内にある魔力を使うんだ。まだペルは魔力量が少ないから1日数発が限度だろう。」
「魔力の量はこれからも増えるの?」
「いい質問だ。魔力は成長に合わせて増えていく。この世に生まれた生物は、どんな生物でも魔力を持っている。動物も植物もそこら辺の石ころにだって宿っている。」
3歳児にこんなこと話して理解できると思っているのだろうか?俺は2週目だから問題はないが……。
「次の話に移るぞ。」
「はい!」
「と、思ったがお前はまだ小さいし、6歳になってから学校で教えてもらった方が詳しく知れるだろう。」
「もっと詳しく知りたい!お父様!」
ここで出し惜しみしないでくれよペヤードさん。魔法のことが気になりすぎて夜しか眠れないよ。
「俺は早く実践訓練に移りたいだけどな〜。じゃあ魔術と魔法について話してあげよう。」
魔術?魔法は聞いたことがあるが魔術のことは詳しく知らないな。でも絵本に書いてあったけ……。
「魔術とは魔法とは違い人が生まれながらにして持っている魔法と考えてくれればいい。理解できるか?」
「大丈夫です。頭が良いので!
でもお父さん、僕は魔術なるものを持ってません!」
「魔術は10歳になるまでに体に定着するものだ。稀に定着しない者も居るらしいが……」
魔術か……。催眠系がいいな〜。何をするのかは想像に任せるとしよう。フ、フォフォ〜。
我が父、ペヤードの魔術はなんなのだろうか……。
「父さんの魔術はどんなものなの?」
「俺の魔術名は『製造者』《クリエイター》。能力は触れた物質を作り替えることができる!」
魔術名とかあるのか。俺の厨二心が抑えきれない。
俺にも早く魔術定着しないかな……。
「お父さんの魔術見たい!」
「いいだろう。よく見ておけペル。」
ペヤードが裏庭の柵に触れると、手の周りに陣のようなものが現れる。
これは……前にマリアード(母親)が魔法を使った時と同じだ。しかし、陣の模様が違う。
柵がミシミシと音を立てて変形していく。
「どうだなかなかすごいだろう?」
柵が一抱え程の球体へと変わっていた。
俺は驚きのあまり腰を抜かしてしまった。
「俺にもできるかな?」
「できるさ、だって俺の子なんだから。」
その言葉がなぜかとても心に響いた。
「魔術の話は終わりだ。次はお父さんの大好きな、魔法の訓練だ。」
訓練と聞いてちょっと身構えてしまうな。
「初めは1番簡単な魔法から教えてあげよう。」
俺はコクリと頷く。
「今からする魔法は『魔力弾』と言って、魔力を出すだけの魔法だ。1度見本を見せるぞ。」
ペヤードはそういうと、両手を前に構えた。
すると手からまた陣が現れ、光の玉みたいのが集まっていく。多分あれが魔力だ。
「魔法は魔力を込めれば込めるほど強くなる。今からあの木に放つから見ておけ。」
光の玉はペヤードの顔ほどの大きさがあり、乱回転している。NA○UTOに出てくる螺○丸的な?
「フンッ!」
光の玉は掌から弾けるように高速で飛んで行き、木を粉砕した。これが一番簡単だと?まずい、できそうにないな……。
「やってみろ。」
やってみろって教えてくれるんじゃないのかい!
まぁいいここで俺の才能が開花するかもしれない。
とりあえずやるとしよう。
「確か構えて掌に光の玉を集める感じで……
何も出ないよ、お父さん……。」
「体の中にある魔力を感じるんだ。その魔力を掌に集めるイメージで。」
「体の中……あっ!あったかいのがある!」
「そうそう、そのイメージだいいぞ!それを掌まで持ってくるんだ!」
自分の体の中に熱いものが流れていることがわかった。例えるなら熱いお茶を飲んだ時に近いな……。
その熱いお茶を掌に集める感じで〜
「フン!ヌヌヌ……。できた!」
俺の掌には拳程度の光の玉ができていた。
「魔法の基本はイメージだ。それができるのとできないのじゃあ天と地の差がある。」
「これ飛ばしてもいいの?」
「飛ばせるのか?できるならあそこの木に打ってみろ。」
「わかったやってみる!」
やってみると言ったが何をやれば良いのかが全く分からない。
飛ばす時はどうするんだ?魔法の基本はイメージらしいから…。
俺のイメージだったら魔力を込めたら飛ぶと思ってたが違うな。
魔力を込めるだけだったら大きくしかならない。
ペヤードの玉は弾いて飛んでいる感じだったな。
そうかわかった!魔力に指向性を持たせるんだ。
要は推進力を与えてやればいいのだ。
魔力の玉を維持したままもう一度魔力を集めた。
だが、今回のは違う。木の方向へ魔力を飛ばすイメージで。
「飛ぉぉべぇよぉーー!」
『魔力弾』は木に当たり消滅してしまった。
ペヤードと比べたら威力はないが初めてにしては上出来だろう。
「すごいぞペル!この年で『魔力弾』をマスターするなんて。」
ペヤードに認めて貰えた気がしてとても嬉しい。
やっぱこの体のお陰だろう。才能に溢れている気がする。
「すごいでしょ?父さん。僕ってやっぱ天才なのかな!」
「あぁすごいとも!俺の息子だから天才に決まってるだろう?」
ペヤードはハハッと笑うと俺の頭を撫でてくれた。
「お父さん、次の魔法もしよう……………」
俺の意識はそこで途切れた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あれ?俺はどうなったんだ?」
とりあえず体は何ともなさそうだが……
「ペルセウス!起きたのね……」
マリアードが隣にいたようだ。その隣にはペヤードもいる。
「なぁペル……。言いにくいがお前は魔力量が人よりも大分少ないみたいなんだ。魔法使いになるのは厳しいと思うぞ……。」
魔力が少ない?嘘だろう?
また俺は『才能』に悩まされてしまうのか?
『才能』とは人が生まれた頃から持っている、『武器』だ。前世の俺は『武器』がないから何をするにも攻めることができなかった。
だけど決めただろう?才能がなくても……この世界で頑張っていくって。みんなに認めて貰うんだ。
まだ出来ないと決まったわけじゃないんだ足掻こうじゃないか。上等だよ。
かかってこいよ『才能』
「お父さん、お母さん。僕はそれでも魔法使いになりたい。」
ペヤードとマリアードは驚いた表情でお互いの顔を見合わせ頷いた。。
「ペルがいいならそれでいいんだ。お前が息子で良かったよ……。」
「ペルセウス。辛い思いをするかもしれないけど挫けないで頑張るのよ。」
「はい!」
久しぶりに親子、川の字になって寝た。
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