日本大好きアメリカ人、日本文化再生の旅に出ます!
朝霞まひろ
1
私は思う。日本は、文化のガラパゴスであると。島国故に、古代から海外から文化を輸入しながら、それを自分たちらしく育ててきたのだ。交流と隔絶こそが、日本文化の本質であると、私は訴える。
しかし、今はどうだろう。文明開化から、インターネットの普及まで。交流はここ200年、比べ物にならないほど増えた。それに伴い、文化を育てる隔絶がなくなった。私は10年前、警鐘を鳴らした。私が敬愛して止まない日本文化が混合し、無色透明な、形だけのものになることを。
それがまさか現実になろうとは。
成田国際空港、第二ターミナル、到着ロビー。
「大丈夫ですか?お荷物持ちますよ。」
スポーツ選手のような大きな体に、金髪、碧眼。およそ日本人とは思えない様相から、似合わないキレイな日本語を話している。
「おやおや。ありがとうね。」
家族でも待っているのだろうか。大荷物を抱えたおばあちゃんが、深々とお礼を言う。
「いえいえ。お気になさらず。」
金髪スポーツ選手は、謙虚に言う。
「これが、外国のレディーファーストってやつかい?」
おばあちゃんが冗漫混じりに笑いながら言う。
「いいえ。これは、助け合いの文化ですよ。困っている人がいたら、助けるのは当たり前です。」
金髪は少し寂しそうだ。
「ほー。そんな文化があるんだねー。」
おばあちゃんは意外そうだ。
「人という字は人と人が支え合って出来てますから。」
「あなた、面白いこと言うねー。でも、素敵な考え方だよ。」
「……私もある人に教えてもらったんです。本当に素敵だと思います。……噂は本当だったんですね。」
少し経って、おばあちゃんの孫らしき子供がきた。そして、金髪はおばあちゃんたちと別れた。
「まさか、ここまでとは……。」
彼はため息をつきながら呟いた。彼は、自分の目的の大変さを改めて感じたのだ。そう。彼の目的は、神様によって消された日本文化を取り戻すことなのだ。
日本大好きアメリカ人、日本文化再生の旅に出ます! 朝霞まひろ @asakamahiro
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