7/2更新訂正版
「まずは情報収集が必要でしょう」
「なら俺はこの施設のデータをもう少し洗ってみる」
「私はレポートを読んでみますね」
「僕は最近起きた非現実的な事件を洗い直そうかな」
「僕は独自の情報網を持っていますのでそちらを」
「わたしは創愛グループを当たってみようかな」
「俺は町の人にあたってみるわ。顔利くし」
「では、一定の情報収集、整理期間を設けてその後に改めて段取りを決めましょうか。解散!」
拓は満足そうに叫び、他は各々の方法で情報を集めることにした。
「なんか勢いで出ていこうとしたけど、魔魅子ちゃんは俺とおった方がええな」
「どうして?」
「魔魅子ちゃんは柊木会から懸賞金掛けられてるやろ? 一千万円なんかそうそうない額やし誰が狙ってくるかわからへんで?」
「あー! そうだった! じゃあ……変装しなきゃね!」
魔魅子はやる気満々と言った様子である。
「なんや、えらい楽しそうやな」
「なんだか、大物って感じでわくわくしない?」
「まあ、創愛グループ会長の親族ってだけで充分大物やろ」
「義理の、だけどね」
「変装とかできんの?」
「まっかせなさい! 女の子を舐めたらダメだよ?」
魔魅子は胸を叩いて自信に満ちた表情をしている。
「ふうん、そう、じゃあ淑女のお手並み拝見といきますか」
「じゃあちょっと待っててね! 着替えてくるから!」
魔魅子は鼻歌混じりで更衣室へと駆け出していった。椅子に片足を乗せながら座り、恵吾はデバイスの画面を眺めていた。何本目かの電子タバコを燻らせながらリラックスしている。
「お待たせー!」
背後から魔魅子の声がする。
「あー、魔魅子ちゃん。どう? いけそう?」
恵吾が振り返るとそのまま固まってしまった。
「どう? わたしってこういうの得意かも!」
魔魅子は髪を後ろで束ね一括りにし、真っ黒なボディスーツに身を包み、大きな黒いサングラスをかけていた。白いマスクをしていて表情は全くわからない。
「いやあ、こういう格好してみたかったんだよね〜。どう? わたしってわからないでしょ?」
「いや、どこからツッコんだらええか分からんけど……とにかく魔魅子ちゃんじゃなかったら、思いっきしはたいてるわ」
「え〜ダメってこと?」
「ダメダメやな。そんな格好で街中歩く気やったん?」
「そうだよ? スパイって感じでかっこいいでしょ?」
「そんな格好で歩いてたらめっちゃ目立つやん! 大体そんなスパイはおらん! 映画の観過ぎや! あかん、ちょっと真理愛ちゃんに手伝ってもらお」
恵吾はデバイスで真理愛に連絡を取り、事情を説明して、来てもらうことにした。
「真理愛ちゃん? 千葉やけど、悪いねんけど、今から休憩室来てくれへん? 魔魅子ちゃんをな……そう……そうやねん。やからな……。うん、ほなよろしく。おおきに〜」
恵吾はデバイスを操作し通話を切る。
「ほな、真理愛ちゃんきてくれるし、やり直しや」
「え〜これでいいじゃん! けち〜」
「けちとかの問題ちゃうねん。魔魅子ちゃんのは変装やなくてコスプレや。とにかく真理愛ちゃんに任せよ?」
「はあい」
程なくして真理愛が到着し、真理愛は魔魅子を更衣室へと連れて行った。
「お待たせ〜」
「おっ、ええやん」
魔魅子は露出の多い服に着替え、ツバの広い帽子を被っていた。髪はプラチナブランドにし、派手な化粧をしている。
「派手だよ? こんなの目立つよ?」
「ええねんこれで。帽子って結構変装として大事やし、派手な女の子と俺が歩いてたら、新しい遊び相手かなって周りも気にさえへんから案外目立たへんよ」
「ほんとに〜?」
「ほんまやで、ほなデートしてる程で頼むわ。真理愛ちゃんも急いでんのにごめんな。ありがとう」
「いえいえ、私もずっとレポートを読んでいると気が滅入るので」
「そか、ほんなら行ってくるわ。魔魅子ちゃんいこか」
「はあい! 真理愛ちゃん! いってきまーす!」
「行ってらっしゃい!」
真理愛はニコニコと手を振っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます