6/26 更新
「どうする気だ?」
綱吉は紙巻きタバコに火をつけ、渋い顔をする。
「決まってるやろ。マスターの仇を討つ」
恵吾はそう言い、マロンに案内された道を戻ろうとする。
「当てはあるのか?」
恵吾の背中に綱吉は言葉をかける。
「今から探す」
「待て待て、当てもなく財閥関連の人物を探せるわけがないだろう? 手伝わせろ」
恵吾は歩みを止めない。
「いや迷惑かかるしいらん」
「迷惑なんぞいつもかけられているだろうが!」
綱吉は恵吾の肩を掴んで引き留めようとするが、恵吾は振り払う。
「ほっといてくれ」
「東雲っ!」
「仕方がないな」
祥貴はナノマシンを起動させ、恵吾の腕に絡み付ける。恵吾は振り返り不機嫌そうにする。
「祥ちゃんまでなんなん?」
「一旦頭を冷やしてからでも遅くはないだろう?」
「俺は冷静やで」
「なら、俺たちを頼れよ!」
綱吉の怒声が地下空間に響く。
「お前はいつも一人でなんとかしようとするがな! ちょっとは俺らも手伝わせろ! 俺が戦えないから邪魔だってことか?」
「ちゃうけど……」
「違うならなんなんだ? お荷物だから置いていくって言われた方が合点がいくがな、お前がかっこつけてボロボロになって、終わってから回収屋として迎えに来いっていうつもりならお断りだぞ!」
「私も無理した後に怪我だけ治せと言われても、腹が立ちます。私達の了承なしに飛び出していって何があっても知りませんよ?」
「千葉くん。二人の気持ちも汲んでやりなよ」
綱吉、真理愛、祥貴の三人から責められ恵吾は俯き、目を閉じている。
「巻き込みたくないとか思っているのかもしれないが、俺たちはダチじゃないのか? 上辺だけの付き合いがしたいならお断りだ。俺は人嫌いだからな。いつも侍らせている適当な女どもに相手してもらえ!」
「……わかった」
恵吾は重い口を開く。
「俺は育ての親であるマスターが怪我させられて悔しい。やから、みんなにも手伝ってほしい」
「初めからそう言えよ馬鹿野郎!」
綱吉は不機嫌そうに円形のテーブルにつく。
「一人よりみんなで行動する方がメリットが多いですよ?」
真理愛も諭すように言い、綱吉の隣の席に座った。
「僕も君達と行動しながら真相を探るつもりだ」
祥貴は優雅に腰を下ろす。
「僕は雇われの身なので、もう少し付き合いますよ」
拓は先ほどのやりとりに意を介さず、お菓子を口に運びながら座る。
「もとはと言えば、わたしが恵吾くんを巻き込んだからこうなったんだよ。だから、わたしも一緒に何かするね? だから恵吾くんもみんなと座って考えよ?」
魔魅子は恵吾の腕を引っ張り席に座らせ、隣に座る。
「みんなありがとう」
「俺たちにもマスターには借りがあるから当然だ」
「みんなありがとうな! じゃあ仕切り直して作戦会議といきましょうか」
拓は勝手に仕切り始めた。
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